「多様性ジャンクション」を開発する
メルマガ「“速話聴取法”で、あなたの頭脳を瞬間チャージ!」Vol.6(2005.7.3 配信)から抜粋
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こんにちは。頭のスルスル、実感してますか?

速話聴取すると、誰でも頭の回転が速くなります。これに例外はありません。しかし、このことが即、「目的を達成する能力が身についた」ということではありませんよね。「頭の回転の速い人が一本取られた」なんていうことは、よくあることです。

速話聴取による能力開発で最もダイナミックな成果の一つは、やはりコミュニケーション能力です。そこで、今号は「自己表現」の視点からコミュニケーションを考えてみたいと思います。コミュニケーションの中で、「自己表現力」は大切な要素ですからね。

さて、自己表現に関して最もトレーニングを積んでいる人達は誰でしょうか。私は、「俳優」の皆さんではないかと思います。基礎体力作りから始まって、呼吸、発声、ボディーランゲージ、表情と、あらゆる表現方法をトレーニングしています。

10年ほど前、ある女優さんにお会いしたとき、俳優のトレーニングが生涯自己啓発のワークショップとよく似ていることに驚いたことがあります。例えば、周りの人達の(視界の外にいる人達も含めて)、その気持ちや状態を感じ取るというトレーニング等です。

私達は普通、一つの自己表現スタイルを持っています。そして、必要であればそれを強化していきます。私自身、セミナーでのレクチャースタイルがある程度完成してきたときに、参加者から「和田節」と言われるようになりました。一つの特徴ある「型」ができたわけです。

誰にでも「らしさ」があります。速話聴取で頭の回転をアップさせると、それまで以上に物事がよく見え、益々順調に事が運ぶようになります。ところが、しばらくすると(ある人はすぐに、またある人は数年経って)、順調に事が運ぶ際立ちの両サイドに、不得意のケース(人のタイプ、分野、状況等)が残骸のように溜まってきていることに気づきはじめます。

これはちょうど、高速道路に乗って、そこを目的地に向かって高速走行しているようなものです。一つの目的地には早く着くことができますが、途中で寄り道したり目的地を変更することは容易ではありません。できなかったその無念さが、心のどこかに残骸として溜まって、「一見成功者」に虚脱感をもたらすのです。

速話聴取で高速思考を実現した人が同時に取り組まなければならない能力開発、それは思考(心)の柔軟性です。先ほどの高速道路の例で言うなら、インターチェンジとジャンクションを必要に応じてリアルタイムに設ける能力です。そうすると、縦横無尽に高速思考を発揮して、目的を達成することができます。これを、速話聴取法では「多様性ジャンクション」と呼んでいます。


・・・ここでちょっと、「ワンポイントアドバイス」・・・

目的を達成するために行動するときは、目的地を明確にすると効果的です。明確にするとは、「数値、期限等を設定する」ということです。このようにして、「目的」を達成するために設定する「目的地」(ゴール)を、「目標」と言います。

「目標」は「目的」を達成するための一つの方法です。場面によっては、臨機応変に「目標」を再設定して、新ルートで「目的」を達成するという柔軟性も必要です。

・・・「ワンポイントアドバイス」終わり・・・


一つの「型」「らしさ」を破って、「多様性ジャンクション」を開発するにはど
うすれば良いでしょうか。

自己表現の達人である俳優が役を演じるときには、台本という一本のレールがあります。そして、また別の台本に乗って、安全で守られた状況の中で自分の「型」を破り、新境地を開拓していきます。

ところが中には、「インプロ(improvisation)」と言って、台本無しのアドリブでストーリーを展開していく表現方法(即興劇)があります。台本がありませんから、相手がどんな風に反応するかは決まっていません。そういう意味では、私達の普段のコミュニケーションと同じで、ハプニングや予想外の連続です。

このインプロで、自己表現の達人である俳優は、どのようにコミュニケーションを展開して目的を達成するのでしょうか。ここに、「多様性ジャンクション」開発のヒントがありそうです。


俳優がインプロするときの心構えを7つ、簡単にですがご紹介しましょう。

1.目的を共有する
関わる人全員が同じ目的を共有します。目標ではなく目的です。

2.自分を信じる
自分の能力と潜在能力の力を信じます。とっさのときには、自分も知らなかった資質あるいは醜さが発現することもありますが、その責任をポジティブに引き受けながら取り組みます。

3.相手を受け入れる
メンバーのアイディアや反応を尊重し受け入れます。共に助け合い、メンバーの真意を察しながら関わります。

4.すぐにやる
即断・即決の連続です。機を逸したアイディアは、ゲスの後知恵と同じです。たとえ「待ち」のときにでも、その「持つ」ことを決めていることが大切です。

5.変化にチャレンジする
「事を成す」ためには、「何かを変える」ことが必要です。執着を捨てて、方法を変える、視点を変える、自分を変える、環境を変える、ときには遊び心も働かせて、転じる力を発揮します。

6.「今・ここ」にいる
「その瞬間に集中して全力を尽くす」ということです。思考を刹那まで絞ると、一点突破のアイディアが閃きます。

7.俯瞰する
一歩退いて全体を洞察(鋭い観察力で物事を見通すこと)します。「空間的俯瞰」「時間的俯瞰」等があります。

自己表現のプロである俳優がインプロにチャレンジするとき、メンバー全員がこのような心構えを堅持します。


大切なコミュニケーション本番(商談、交渉、プレゼンテーション、プロポーズ等)前に、この7つの心構えを確認してから臨んでください。

そして、もしも事が上手く運ばないときには、次のように自問してください。「目的を共有しているか?」「自分を信じているか?」「相手を受け入れているか?」「すぐやっているか?」「変化にチャレンジしているか?」「今・ここにいるか?」「俯瞰しているか?」と。

難しく考える必要はありません。高速思考に、この7つのキーワードが加味されたとき、あなたは「多様性ジャンクション」の世界を生きているのです。

もちろん、この「多様性ジャンクション」を日常のあらゆるコミュニケーション場面にまで拡げることができたら、とても素晴らしいことですね。






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