セルシネ・エイム研究所 HP |
03-3999-9906 |
弊社代表和田知浩が、折に触れて気ままに「人生成功」に関するメッセージを投稿しています。
vol.317 『朝スッキリと素早く目覚める絶妙の楽曲を紹介。TBSラジオ「安住紳一郎の日曜天国」からオファーを頂いて。』 2019.10.23
今月6日(日)のTBSラジオ「安住紳一郎の日曜天国」で私が提供したメッセージが紹介されたので振り返りたい。
番組の放送作家からお電話を頂いたのが、オンエア前々日の金曜夕方だった。
テーマは「朝一秒でも早くスッキリ目覚める方法」。
先に発表された滋賀大学大平雅子准教授の研究チームにより提唱(研究途上)された方法を軸に、その他の方法も紹介したいとのこと。
メッセージの提供方法と謝礼金を提示され、このオファーを受けることにした。
電話を切った後、さっそく大平雅子准教授の発表内容を調べてみた。
ゼミ6期生朝倉大晟氏の卒論の一部をまとめたもののようだ。
被験者は13名の小学生で、電子アラーム音を鳴らした場合は平均310秒(5分10秒)、ところが“ある方法”では平均29秒(おおよそ10分の1)で目覚めたそうだ。更に、起床直後に簡単な問題を解かせると、“ある方法”ではミスが少なく覚醒度も格段に良かったという。
ある方法とは、「寝ている子の名前を呼んで起こす」である。
被験者のお母さんが呼び起こす声を事前に録音しておき用いたそうだ。
同放送作家は既に私が投稿している「スッキリ目覚める方法」を読んで頂いているようだったので、その方法を押さえて、更に理論的背景やその他の方法をこの様にまとめて提出した。
「スッキリ目覚める」とは、「覚醒直後の脳の“ゴールデンタイム”」の数分間と「覚醒後の脳の“フレッシュタイム”」の約 60 分間の質で評価される。
脳のゴールデンタイムでは、脳波がα波モード(α波優勢。他の脳波よりもα波が一番強く出ている状態)になっている。
前日の脳活動によって生じた脳内のゴミ(アミロイドβ)が睡眠時に一掃され、脳はリフレッシュする。
この貴重なスッキリタイムをせかせかと時間に追われ、身支度や通勤/通学をして、多くの人達は折角の脳内環境を台無しにしている。
本ブログに関連記事「人生マネジメント&ビルドの効果を飛躍的に高める睡眠前後の脳のゴールデンタイムとフレッシュタイムの生かし方。」 を投稿している。
このことを踏まえて、さて本題である。
歌には、リズムによって右脳を、言葉によって左脳を刺激する効果がある。
よって、適切なリズムと言葉を与えれば、全脳的に早くスッキリ目覚めることができる。
お薦めの楽曲が「あの鐘を鳴らすのはあなた」(作詞 阿久悠、作曲 森田公一、唄 和田アキ子)である。
リズムと歌詞が目覚めに丁度いい。
リズムは4拍子でテンポは90bpm(beats per minute.1分間あたりの拍数)で始まる。それがすぐに104bpmへと変調する。この変調が目覚めに丁度いい。
スッキリと目覚めるには歌詞も重要である。この楽曲には「アファーメーション」(肯定的自己宣言)の要素が沢山織り込まれている。
このテンポと歌詞が絶妙である。“同質の原理”で無理なくたぐり寄せるようにスッキリと短時間で覚醒させてくれる。
話が脱線するが、“肯定的高揚感”を高める大ヒット曲は他にもある。6年前にリリースされた映画「アナと雪の女王」の主題歌「Let It Go」である。
当時、TBS「あさチャン」から脳波測定のご用命を頂いた際に、その効果を実証している。ピークパフォーマンスを発揮できるファストα波が増強するのだ。
当時、本ブログに「“アナと雪の女王”の主題歌『Let It Go 〜ありのままで〜』を聴いたときの“肯定的高揚度”を脳波測定で算出。TBS「あさチャン」からのオファーにて。」を投稿している。
ただし、目覚めのための変調の妙は「あの鐘を鳴らすのはあなた」に軍配が上がる。
閑話休題
人は、(上に紹介したゴールデンタイムの他にも)睡眠中に何度かうっすらと目覚める時間帯がある。タイミング良くこの時に「あの鐘を鳴らすのはあなた」が鳴り始めたら、その時をゴールデンタイムにすることができる。
起床したい時刻に少し余裕を持ってプレーヤーでリピート再生すると良いだろう。そしてもう一つのポイントは、音量は大きくしないということだ。
是非お試しあれ!
そして、脳のゴールデンタイムには、「微笑み法」も併せて実践すると良い。微笑み法とアファーメーションについては、書籍「宣言 アファーメーション・バイブル 〜言霊の生かし方〜」に詳しく書いている。
アファーメーションのスクリプトは「私は」を付けるはずなのに、「あの鐘を鳴らすのはあなた」は「あなた」と言っているじゃないか、というツッコミが不毛であることも分かるだろう。
なお、「あの鐘を鳴らすのはあなた」には様々なバーションがあるので、試すなら1972年に発売されたオリジナルが良いということも付け加えておく。
オンエアされたこのラジオ番組はこちらでお聞き頂ける。
感謝。
セルシネ・エイム研究所 和田知浩
vol.316 『能力開発トレーナーとして恥じ入った・・・、SHELLYさんの凄い能力。テレビ朝日の「ハナタカ!優越館」からオファーを頂いて。』 2019.7.4
「・・・『あかいきつね』と言いながら『みどりのたぬき』とスマホに打ち込むことは難しい。また、その理由をコメントして頂けませんか?」
テレビ朝日「日本人の3割しか知らないこと くりぃむしちゅーのハナタカ!優越館」スタッフからのメールだった。
難しいもなにも、そんなこと出来ないだろう・・・、と思った。
私はスマホの入力には時間が掛かるが、PCのキーボードならタッチタイピングが出来る。入力中の文節後半で、他に意識を向けながらでも問題なく入力できる。
PCで試してみた。
『あかいきつね』と言いながらキーボードに「みど;■`@!$”・・・」無理だ。
二十数年前に私が指導していた能力開発セミナーで、以下のようなデュアルタスクの課題を余興でやっていたことがある。
課題1.左腕を上下させながら、同じテンポで右腕は三角を描く。
両腕を上げた状態から始めれば、カウント6で再び両腕が上で揃うはずだ。
課題2.左手はパー(全指を伸ばした状態)、右手は親指だけ折った状態から、両手一緒に指を折りながら10まで数える。
カウント10で、最初の状態になるはずだ。
初めての人は出来なくても、少し練習すると誰でも出来るようになる。プチ能力開発の達成感が味わえるのだ。
しかし、今回ご相談頂いた課題は・・・
そういうことは出来ない、という理由を用意して撮影に臨んだ。
撮影クルーを弊社に迎え、撮影の準備が進んでいた時の会話に驚いた。
ディレクター曰く、「SHELLYさんだけ出来たんですよねー。2回やっても・・・」
しぇ、SHELLYさん凄ーい・・・。ビックリした。本当に驚いた。
いつもなら、例えば脳波測定の結果を私が解説するVTRがスタジオで流されて、タレントの皆さんがそれを見るというステップだ。
ところが今回は、既に結果が出ていて、それの事後解説という訳だ。だから、私が解説しているシーンに、それをスタジオで見るワイプのタレントさんはいない。
6月13日に放送された番組の画像をお借りして振り返る。
「これが一発で出来るということは、脳の中の情報処理をするスペースが広くて、複数の作業を同時並行する能力に優れていると思います」
「赤いきつね」と言いながら「みどりのたぬき」と入力できるか。ペルセペスさんからのハナタカ投稿だ。
前振りの後、スタジオの皆さんが挑戦していくがことごとく失敗。
途中、ボケとツッコミがありながら・・・
そんな中、SHELLYさんだけが出来た!
「この場合、喋ることと文字を打つという別のことを、どちらも1つの脳から指示を出そうとしています」
「脳の作業記憶は、2つ以上の処理を同時におこなうことは苦手なんですが、中には信号をうまく切り替えて、高速で複数の処理を出来る人もいます」
「SHELLYさんのような複数の言語を処理できるような方は、そういう能力が発達したのではないかと考えられます」
「何歳になってからでも脳の処理能力は鍛えることが出来るので、ぜひ日常的にやってみて欲しいです」
脳の働きは何歳になってからでも、(粘土を練り直すように)再構築することが出来る。この性質を“脳の可塑性”という。
それにしても、SHELLYさんの能力には驚いた。
この実験結果を聞いたとき、すぐに「SHELLYさんがバイリンガルだからか」と思い当たった。
もしかすると3カ国語以上話せるマルチリンガルかもしれないので、ディレクターと相談して、「複数の言語を処理できる」という表現にした。
私は昨今の“早期英語学習熱”には首をかしげる一人だが、SHELLYさんの脳内で“能力の波及効果”が生じていることは確かである。すなわち、ある能力が活性化すると、関連する周辺の能力も引っ張られるように顕在化する現象だ。
ある能力が活性化すると、その働きを担う脳の領野が実際に広くなる。広くなった領野で余裕を持って関連能力を発揮できるのだ。
キーワードは、「デュアル(マルチ)タスク」と「ワーキングメモリー」である。
ワーキングメモリーについては、セルシネのYouTubeチャンネルに掲載した動画「情報循環モデルの中の理性的自我の役割を知る」でも触れているので参考まで。
SHELLYさんの脳を覗いてみたくなった。
SHELLYさんのことはテレビでお見かけするぐらいしか知らないので、本当はもっと別の理由もあるかもしれない。
それにしても、このお話を頂いたときに「そんなことは出来ないだろう」と性急に思い込んでしまった自分が恥ずかしい。能力開発トレーナー失格である。
改めて能力開発の大きな可能性に気づかせてくれた番組とSHELLYさんに感謝。
セルシネの「テレビ番組協力実績」紹介ページ
セルシネ・エイム研究所 和田知浩
vol.315 『NHKBSプレミアム「偉人たちの健康診断」からのオファーで、新選組・土方歳三も実践した秘伝の呼吸法を脳波測定で検証。』 2019.6.29
NHKBSプレミアム「偉人たちの健康診断」〜新選組・土方歳三“お掃除男子”美肌の秘密〜で、私が脳波測定で協力したシーンが放送されたので振り返りたいと思う。
OA画像を、いつものように弊社「テレビ番組協力実績」紹介ページにも掲載させて頂いた。
番組から脳波測定のオファーを頂いた目的は、土方歳三が入門した日野宿本陣 天然理心流道場に伝わる秘伝の呼吸法を検証することだった。
ロケは4月20日(土)に日野市東部会館の大ホールで行われた。
ロケ現場近くに歳三の生家「土方歳三資料館」があることを知り寄ってみたが、残念ながら当日は閉館していた。
5月30日に放送された内容から、歳三の人となりをピックアップしてみよう。
1835(天保6)年、現在の東京・日野市に生誕。農民の出で、「新選組の鬼の副長」と呼ばれた。享年35歳。
本郷和人氏(東京大学史料編纂所 教授)曰く、「京都を舞台に一所懸命治安維持に務めた。だけど、時勢が見方をしてくれなかった。幕府が滅んでいくとき、幕府に準じて最後まで戦った、武士の中の武士という感じがするわけですが、実は彼は農民の子なんです」
日野宿本陣天然理心流道場に入門した歳三は、通常7年掛かると言われる天然理心流中極位目録を1年7ヶ月で修得したそうだ。
番組は、新選組隊士 井上源三郎の子孫である井上雅雄氏が会長を務める天然理心流日野道場を取材し、歳三が美肌であった理由を探った。
これが柔術を取り入れた天然理心流の極めて特徴的な技で、体幹と下半身の筋肉が鍛えられるのだそうだ。
歳三は通常の4倍以上のスピードで天然理心流中極位目録を修得したのだから、勝れた筋力を体幹と下半身に有していたであろう、そしてこのことが美肌の理由である可能性だと番組は展開した。
錦織秀氏(ポーラ化成工業 研究員)によると、日本人女性100人を調査した結果、体幹と下半身の筋肉量(80%の筋肉がある)が多い人ほど、顔のシミが少ないという相関関係があったとのこと。
同氏によると、筋肉で生成されるマイオネクチン(myonectin)というホルモンが、シミの原因であるメラニン色素の生成を抑える働きがあるのだそうだ。(2018年にポーラ化成工業フロンティアリサーチセンターが発表)
さらに、美肌を保つ天然理心流秘伝の呼吸法が紹介された。今回初めてテレビで紹介されるという指南書「剣法名談録」である。
その呼吸法(意気込みの術)とは次の通りである。
「両ひざを開き、腰を上げ、ヘソを上に向け、腹にゆっくり空気をためて、肛門を引きしめ、少しずつ息を出し入れする」
前出の井上氏によると、「この呼吸法を取り入れると、無になって、感情を抑えて、実力を出すことができる」のだそうだ。
貝谷久宣氏(京都府立医科大学 客員教授)によると、「呼吸をゆっくりすることによって怒りとか激しい陰性感情が抑えられる」とのこと。
そして、私が脳波測定した様子が紹介された。
解析の結果、秘伝の呼吸法前後で一貫してミッドα波(α2)が優勢で、θ波の出現量は前に比べて後が増したことが分かった。
ミッドα波が一貫して優勢であることは「落ち着いた意識集中」状態であると言える。また、θ波が増えたことは、ヨーガの行者や禅僧が空観を得たような心的状態で、いわゆる「覚醒θ波」である。
全周波的に電位は然程高くなかったので、この脳波バランスで電位が増してくると達人級となるだろう。
番組が紹介した脳波グラフがこれだ。綺麗なグラフだ。が、しかし、間髪入れずに私の頭の中で「?」が2つ駆け巡った。弊社「セルシネ・エイム研究所」のクレジットが標記されているのだが・・・
本稿では別の視点から脳波解析の結果を有りの儘に紹介しておきたいと思う。
秘伝の呼吸法を実施した前後の左脳(Fp1)と右脳(Fp2)の脳波を測定し、β波とθ波をピックアップして平均電位、分布率、優勢率の変化量を示したものである。
全てにおいて、β波が減り(マイナスになり)、θ波が増えている。分布率と優勢率の変化量は「ポイント」である。
β波は「せかせか感」の指標である。
程なく脳波のコーナーは終わり、番組は呼吸法の更なる効用「感情を抑えることが美肌につながる」との紹介へ進んだ。
番組では「感情を抑える」という表現を使っているが、β波が減りθ波が増えた脳は、感情を抑えていると言うよりも「感情を解き放った末に沈静化した聡明感」と言った方がふさわしい。
番組ナレーションで「感情が荒ぶり怒ることで体内にはコルチゾールというストレスホルモンが分泌されます。このコルチゾールが過剰に分泌されることで、肌の水分を保持するセラミドを分解してしまう可能性があることが分かってきました。ゆっくりと息を吸って深呼吸し、怒りを抑えることが潤いのある美肌を保つために重要なのです」と。
続いて、日比野佐和子医師(2年前に読売テレビ「情報ライブ ミヤネ屋」〜アンチエイジング第2弾「脳活」 カラオケで脳は若返る!?〜で私が脳波測定した際にスタジオで解説された先生)による美肌解説と効果的軽運動/食事が提案された。
さらに、歳三ならではの空間把握能力が紹介され、スタジオでタレントさん達が空間把握課題に挑戦した。
そして、同志近藤勇が新政府側に斬首されたのを機に絶望し、そのグリーフ(死別などによる深い悲しみ。悲嘆。苦悩。嘆きのストレス反応。立ち直るのに数年かかる場合もある)状態から立ち直って再び戦う気力が戻ってきた理由が考察された。
番組スタッフは、歳三がグリーフで引きこもっていた会津東山温泉へ向かった。そして、心の傷をすみやかに癒やした原因は、“流れる温泉”にあるのではないかとした。
効果1.〜流れの振動が血流量を上昇させる〜
流れる浴槽と流れない浴槽で、血流量がこれだけ違う。
そのため、血液に含まれる鉄分が十分に脳に行き渡り、鉄分を材料に生み出される神経伝達物質セロトニン(抗うつ・抗不安効果をもたらす)が増える。
セロトニンの効果として、論文「うつ・不安にかかわる脳内神経活動と運動による抗うつ・抗不安効果」北一郎 大塚友実 西島壮(2010年)が紹介された。
効果2.〜せせらぎの音がリラックスさせる〜
聴覚では聞こえない2万ヘルツ以上の超音波振動にリラックス効果がある。
超高周波数音の効果として、論文「自然環境の発する音(超高周波数音)が人に与える影響」環境科学研究所(石田光男 齋藤順子 永井正則 山田博之)・工業技術センター(岩間貴司)(2010年)が紹介された。
面白かったのは、超音波が届く距離の測定だった。
せせらぎ音の発生源から数メートル離れるだけで、リラックス効果がある超高周波成分はガクンと減るそうだ。だから、出来るだけ川の近くにいた方が良い。
これを解説されたのは、日本音響研究所の二代目所長 鈴木創氏だ。
鈴木氏ともテレビ番組の別々のVTRでたまに共演する。今でも人気なのが、ブログ「CDとレコードを聴いたときの脳波。違いはあるのか? 日テレ『所さんの目がテン!』からのオファーで分かったこと。」で、多くの読者を集めている。
今回も沢山の示唆とご縁を頂いた。感謝。
セルシネ・エイム研究所 和田知浩
vol.314 『情報循環モデルの中の理性的自我の役割を知る。』 2019.6.19
拙著「宣言 アファーメーション・バイブル 〜言霊の生かし方〜」紹介ページに、動画「情報循環モデルの中の理性的自我の役割を知る」を掲載したので、本ブログには、その原稿と画像を記しておきたい。
こんにちは。セルシネ・エイム研究所の和田知浩です。
この動画では、「情報循環モデル」の中の「理性的自我」の役割についてお話しします。
前回は、「感性的自我」の働きを中心にお話ししました。
「出来事」の情報が「感受」され、「表象」「生理」「認識」「感情」「言動」と展開しながら、「現状」を作っていくステップでした。
今回は、「理性的自我」です。
「理性的自我」は、「感性的自我」の「感受」から「言動」までを、そして、「出来事」や「現状」をつぶさに巡察します。
その上で、「感性的自我」を的確に統御します。
「理性的自我」のステップも、「感性的自我」と同じように6つあります。
「離れて」「観て」「感じて」「考えて」「決めて」「遣る」です。それでは、ステップ毎にざっくりとみていきましょう。
まず、「離れる」は、何かを切っ掛けに自己改善が必要だと気づいたときです。
例えば、勉強や仕事、趣味などに集中維持が出来なくなった場合、或いは、前回の動画で紹介した、カウンセラーがカフェで噂話を聞いたときや、クライアントから久しぶりにセッションの予約が入ったとき、そして実際に面談したときの、それぞれ嫌な感覚を感じたときです。
こういった嫌な感覚に気づいたときには、既にもう一人の自分、すなわち「理性的自我」が「感性的自我」から離れ掛けています。人生が上手くいかない人の多くは、この中途半端な「離観」のままで、何かおかしい何かおかしいと、ぼんやり酔生夢死のように生きて、そして死んでいきます。
何かの歯車が狂って、自己改善が必要なときには、「理性的自我」が「感性的自我」からしっかりと離れなければいけません。
何かおかしいと気づいたときに離れる方法は、例えば、手首にはめた輪ゴムをパチンとやる、或いは、「離観!」と声に出して、両手で両ほほを叩くなど、様々な方法があります。
もちろん、痛覚を利用しない方法もあります。自分に合った遣り方を見つけてください。
しっかりと離れたら、次にやることは「観る」です。「感性的自我」の「感受」「表象」「生理」「認識」「感情」「言動」をつぶさに巡察する、これを「内観」と言います。そして、「出来事」や「現状」をつぶさに観察する、これを「外観」と言います。
自分の悪い、役に立たなくなった言動パターンが発動しているのを、同時に観察していることもできます。アンガーマネジメントの初動としても効果的です。
次は「感じる」です。「感性的自我」の様子をありのままにしっかりと豊かに感じて、情操を養います。
私達は、自己防衛反応によって、失体感症や失情感症に陥っている場合があります。自己防衛本能を変えようとする努力は不要ですが、自己防衛反応は、必要ならば積極的に変えていって良いものです。
ただし、「離れて」、「観て」、「感じて」という一連の巡察では、「感性的自我」や他人を、或いは「出来事」をジャッジすることは不要です。ただただ、ありのままを「観て」、そして「感じ」ます。
次は「考える」です。ここからはしっかりとジャッジを下していきます。ただし、柔軟性は保ったままです。
ともすれば、「再生的思考」にとどまって、何度も同じ失敗を繰り返しているかもしれません。「再生的思考」を止めて、「生産的思考」で閃きを得ます。
その際は、例えば、次のようなことをチェックします。
過剰に失敗を恐れていないか?
必要以上の完璧さを求めていないか?
どこかに無理が生じていないか?
役に立たない拘り(こだわり)や蟠り(わだかまり)がないか? などです。
この思考の前提として、次のような考え方も有益です。
「失敗したとしても、その後の対処次第で自身の真価を示すことが出来る」
「嫌いなことや失敗を避けようとする努力は、“努力逆転の法則”に陥りやすいが、好きなことや成功した結果のイメージを背景に、今此処に集中して努力すると“努力順転の法則”を生きることが出来る。この法則を体現するためにどうするか」 などです。
また、他者や環境との整合性を見極める“エコロジー・チェック”や、倫理や道徳に心を配る“エシカル・チェック”なども重要です。
次は「決める」です。決断して、結果を覚悟することと言ってもいいでしょう。
前のステップの「考え」の決着であると共に、次のステップの「遣る」の結果を先取りした決着でもあります。「考え」と「遣る」をしっかりと繋げて実現を約束することです。
本にも紹介した通り、私が会社勤めで中間管理職に就いていたときに実践していたアファーメーション、「私は責任を持って決断し実行します。」は、この、「考えて」「決めて」「遣る」、の一連を宣言していたわけです。
「私は責任を持って決断し実行しています。」と、現在進行形で宣言するのも良いでしょう。
そして最後は「遣る」です。「天使のように大胆に、悪魔のように繊細に」「感性的自我」を統御して現実化します。
「離れて」「観て」「感じて」「考えて」「決めて」まで、全てに接続助詞の「て」をつけている理由は、6ステップの一連を切れ目なく続けて行い、最後の「遣る」、で仕留めるということを示すためです。
うまくいかなかった事柄の後に、それを思い出しながら、6ステップを時間を掛けて行うことも出来ますが、うまくいっていない最中に、6ステップを行い改善することも出来ます。
ただし、最中に行うためには、ワーキングメモリーの活性化が欠かせません。
ワーキングメモリーとは単なる記憶ではなくて、この様な6ステップをリアルタイムに働かせる機能も含みます。
ワーキングメモリーを活性化させる「抗ストループ訓練」や、「速話聴取法」、そして、ワーキングメモリー能力を判定する様々な動画を、セルシネのYouTubeチャンネルに用意していますので、是非ご利用ください。
前回の動画で解説した「感性的自我」が『水平の6ステップ』であり、今回の「理性的自我」が『垂直の6ステップ』です。
この情報循環モデルの自己統御法を「T型12ステップ法」と呼びます。
何かが上手くいかないとき、例えば、目標達成や能力開発がなかなか進まないとき、或いは人間関係でつまずいたとき、そういったときに、自分のどこに注目して自己改善すれば良いのか、そして、自分の何を生かせば良いのか、そんな視点のお話しを、二本の動画に渡ってしてきました。
いかがでしょうか? 詳しい内容と遣り方は、この本、「宣言 アファーメーション・バイブル 〜言霊の生かし方〜」に書いていますので、参考にしてください。
また、パーソナルサポートやセミナーのプログラムも用意しておりますので、是非ご利用ください。
セルシネ・エイム研究所 和田知浩
vol.313 『動画「目標達成や人間関係がうまくいかない時の自己改善法を『情報循環モデル』の視点で考える」の原稿と画像。』 2019.5.31
拙著「宣言 アファーメーション・バイブル 〜言霊の生かし方〜」紹介ページに、動画「目標達成や人間関係がうまくいかない時の自己改善法を『情報循環モデル』の視点で考える」を掲載したので、本ブログには、その原稿と画像を記しておきたい。
こんにちは。セルシネ・エイム研究所の和田知浩です。
この動画では、何かが上手くいかないとき、例えば、目標達成や能力開発がなかなか進まないとき、或いは人間関係でつまずいたとき、そういったときに、自分のどこに注目して自己改善すれば良いのか、その視点をお話しします。
こんなシチュエーションを想像してみてください。
ここはカフェです。あるカウンセラーがカウンターに座って軽食を摂っていました。すると、そのカフェへ、3,4人の客が入ってきて、後ろの少し離れたボックス席に案内されたようです。
カウンセラーが、その人達の会話を聞くとはなしに聞いていると、何やら自分のことを話しているようでした。
「あのカウンセラー、どう?」
「ダメ〜! 私に合わないわ・・・」
そして一週間後、その人だと思っていたクライアントがカウンセラーの元に来て言いました。
「また調子が悪くなって・・・」
そのときカウンセラーは何を思い、どんな話しをするでしょうか? 表情は? 態度はどうでしょうか?
さて、同じカウンセラーがこんな体験をしたらどうでしょう。
カウンターに座って軽食を摂っていると、3,4人の客が入ってきて、後ろの少し離れたボックス席に案内されたようです。
カウンセラーが、その人達の会話を聞くとはなしに聞いていると、何やら自分のことを話しているようでした。
「あのカウンセラー、どう?」
「いいわよ〜! 私に合ってる・・・」
そして一週間後、その人だと思っていたクライアントがカウンセラーの元に来て言いました。
「また調子が悪くなって・・・」
そのときカウンセラーは何を思い、どんな話しをするでしょうか? 表情は? 態度はどうでしょうか?
同じカウンセラーが同じクライアントから同じ相談を受けても、恐らくカウンセラーが提供するアドバイスは違うのではないでしょうか。そして、それによってクライアントの反応も変わってきます。
もしも同じ様にアドバイスをしたとすれば、そのカウンセラーはいい意味で、よほどの鈍感か、記憶力が乏しいか、天真爛漫か、自制心の達人か、或いは最上級の人格者かもしれません。
セミナーでこの質問をすると、前者と後者のカウンセラーのアドバイスの違いについて、様々な角度からの意見が出ます。
一般的には、前者はクライアントに対して反感を抱いたり、自信を無くしていて、今回の相談は良い結果が得られないかもしれません。或いは逆に、開き直って肩の力が抜け、結果的に適切なアドバイスをするかもしれません。
一方、後者は、クライアントに対して好感を抱いていて、今回の相談にも積極的に、適切なアドバイスができるかもしれませし、逆に、変なプレッシャーを感じて、不調に終わってしまうかもしれません。
パーソナル・マインド・フィルターは百人百様ですから、カウンセラーの反応や思考をここで特定することはできません。
この動画では、ここを掘り下げることはしませんが、とにかく、事前の思い込みの違いによって、その後、同じことを体験しても、多くの人はアクションとリアクションが違ってくる、ということにして、話しを進めたいと思います。
様々な職場で、同じようなことが起こっています。職場に限らず、人が集まる人間関係の場で、或いは自分一人しかいない無人島でも、私達は思い込みのフィルターを通して体験し、そして反応しています。
それでは、自己改善するにあたって、理解するべき「情報循環モデル」について、ざっくりと見ていきましょう。
これが、「情報循環モデル」です。
「出来事」の情報が「本人」を通って、「現状」に出ています。それが「環境」となって、再び「出来事」を作って、そして「本人」に再び入ります。これが繰り返されます。
「現状」というのは、「本人」のアクションに大きく影響されます。そして、「出来事」に対する本人のリアクションによっても作られます。
もちろん「現状」や「環境」、「出来事」は、他人やその他からの影響も沢山受けます。しかし、「本人」周辺は、「本人」が発したアクションとリアクションに強く影響され続けます。
もしも今、あなたがこういう状態ならば、小難しいことをわざわざ考える必要はありません。今のまま人生をエンジョイしてください。そして、果敢に何かに挑戦することもあるでしょう。
しかし、もしも・・・
今のあなたがこういう状態ならば、我武者羅に頑張ったり、何かから逃げたり、無駄な喧嘩をしたり、或いは諦めたりする前に、自身の中の狂った歯車を適切に改善すると良いでしょう。
このレベルで気づくことが大切です。狂った歯車のまま、我武者羅に頑張ったり試行錯誤していると、益々悪循環に陥ってしまうからです。
そうなると、心の専門家にお世話になったり、回復までに長い年月が必要になってしまいます。
「心構え」というのは、物事に対処するための心の準備、予め備えられた“型”のようなものです。また、「心構え」というのは、本人の体験によって作られたもので、ほぼ無意識的に機能しています。
「自身の中の狂った歯車を適切に改善する」というのは、この「心構え」を改善するということです。それでは、「心構え」の働きを、ステップ毎に分けて見ていきましょう。
ステップは6つあります。
現状に作用するアクションとリアクションとは何か? それは、「言動」です。
この「言動」のベクトルを決めるもの、すなわち言動の方向性と強さを決めるのは、「感情」です。
そして、その「感情」を作るのは、「認識」です。「思い込み」と言ってもいいでしょう。
先ほどのカウンセラーも、カフェでの他人の会話が自分のことを話題にしていると「思い込んだ」わけです。「認識」というのは、実際の出来事によって作られるのではなくて、本人が思い込んだことで作られます。
それでは「認識」は何によって作られるのか? それは、「生理」現象です。「生理」現象によって、「認識」度の強弱が決まったりします。
例えば、「吊り橋効果」や、「笑うから楽しいのか、楽しいから笑うのか」などの考察は、この辺りを検討しているわけです。
先ほどの例で実際に起こったことは、クライアントが来訪して、「また調子が悪くなって・・・」と言ったことだけです。
しかし、カウンセラーにあった事前の「心構え」の違いによって、クライアントの言葉に「生理」が反応し、前者はこうなり、
後者はこうなったかもしれません。
カフェでの体験によってできたカウンセラーの「心構え」は、そのクライアントから久しぶりにセッションの申込みがあった段階でも、既に何らかの「生理」現象が起動するようになっていたかもしれません。
それでは、「生理」は何によって作られるのか? それは、「表象」です。入力されてきた個々の刺激を、ひとまとまりの形に再構成した心の印象です。
そしてもう一つ、「生理」を作るルートがあります。それは、食物や酸素の摂取です。「心構え」を作る上で、このルートも大変重要です。
それでは、「表象」の元となるものは何か? それは、「感受」です。
感覚器官で受け取った刺激の影響は、「感受」では快/不快/中性という風にシンプルですが、感覚記憶の働きによって、この段階で既に、有りの儘の情報が少しだけ変容しています。
こういったルートを情報が縦横無尽に内循環、或いは超内循環して「心構え」を作っています。感覚記憶の影響を受ける「感受」を含めて、各ステップは記憶から影響を受けますから、普通は、このステップ順を固定的に考える必要はありません。
「心構え」は出来事に反応して、「現状」という結果を作ります。そして、その結果は記憶され、「心構え」を更に変容していきます。
私達の「心構え」は、沢山の情報入力に曝されています。
例えば、上司や同僚、部下、業者、顧客、ご近所、PTA、サークル、クラスメート、家族、マスコミなどからです。
特に、権威者や好きな人からの情報は、無防備に循環し、強化されます。
例えば、 “ピグマリオン効果”(被期待効果) 、“プラシーボ効果”(偽薬効果)、“ハロー効果”(後光効果) 、“ホーソン効果”(被注目効果)などもあります。
この情報循環を、自身の手でしっかりとマネジメントすることが重要です。
現状を変えるには、感受から言動までのどこかに、楔を打ち込む必要があります。
自己改善するための心理学は沢山ありますが、それらは全て、このステップのどこかに、何らかのアプローチをする訳です。
情報が内循環する経路は2つあります。“内感経路”と“外感経路”です。
内感経路は、記憶を想起したり、想像を巡らしているときの内的入口です。
外感経路は、出来事など、現実世界に意識を向けているときの外的入口です。
賢く生きるために、或いは素早く言動するために、記憶力や想像力はとても重要です。しかし、時として自分を苦しめる元凶となっていることもあります。
長く尾を引く“間違った心構え”は、この内感経路から影響を受けています。
この様なときは、内感から離れて、極力「表象」や「感受」の外感経路に意識を留め置くことが、“今此処”のフレッシュな世界を享受するコツです。
ここまでお話ししてきた、ほぼ無意識の「心構え」を、「感性的自我」といいます。
最初にお話しした通り、この「感性的自我」のままで人生をエンジョイできているのならば、素晴らしいです。理想の在り方です。
しかし、「心構え」の歯車が狂っているならば、「感性的自我」から、もう一人の自分が一旦離れて、自己改善しなければなりません。その、もう一人の自分のことを、「理性的自我」と言います。
先ほどのカウンセラーの例では、そもそもカフェで噂話を耳にしていたとき、自身の「表象」や外側の「出来事」を、「理性的自我」が点検することで、勘違いを避けることができたかもしれません。
「理性的自我」は、「感性的自我」の様子をしっかりと観察しながら、必要ならば、必要な箇所に楔を打ち込んで、自己改善します。
「感性的自我」の働きは、「慣性の法則」に似ています。すなわち、「物体が外力を受けないとき、その物体の運動は一定を保ち続ける」、という法則です。
共鳴現象によって、本人の「心構え」に類似の「出来事」が誘発されやすいので、その外力によって、「感性的自我」は益々スパイラル的に、その「心構え」を強化します。
或いは、「感性的自我」の在り方に全く関係ない、不可抗力によって突き落とされることもあります。
この様に、何らかの理由で「感性的自我」の歯車が狂ったときには、「理性的自我」が外力の役割を担って、しっかりと「感性的自我」を改善します。
ただし、この様に2つの自我があるとき、すなわち「観察される自我」と「観察する自我」があるときは、最も素晴らしい、最高の状態であるとは言えません。何かに没頭し、人生を最高にエンジョイしているときは、「“理感一体”である」、ということも、覚えておいてください。
以上が、「情報循環モデル」の概要です。詳しい内容と実践方法は、この本「宣言 アファーメーション・バイブル 〜言霊の生かし方〜」に書いていますので参考にしてください。
また、パーソナルサポートやセミナーのプログラムも用意しておりますので、是非ご利用ください。
以上が、昨日アップした動画「目標達成や人間関係がうまくいかない時の自己改善法を『情報循環モデル』の視点で考える」の原稿と画像である。
セルシネ・エイム研究所 和田知浩
vol.312 『セルシネの自己実現支援オープンコースに新タイトル「職場で被災しないための“安全”対策強化プロジェクトの導入〜能力開発トレーナーからの提案〜」を追加。』 2019.5.9
先日、セルシネの自己実現支援オープンコースに新たなコースを追加した。
タイトルは「職場で被災しないための“安全”対策強化プロジェクトの導入」、サブタイトルは「能力開発トレーナーからの提案」である。
このタイトルのプロモーションビデオを作成し、一昨日(5月7日)YouTubeにアップした。
ビデオから画像をキャプチャーし、コメントを文字に起こして本ブログに投稿しておこうと思う。
こんにちは。セルシネ・エイム研究所の和田知浩です。
この度、新しいセミナー/講演会のタイトルを公開しましたので、ご紹介します。
タイトル名は「職場で被災しないための“安全”対策強化プロジェクトの導入」〜能力開発トレーナーからの提案〜としました。
セルシネのオープンコースとしては、5タイトル目となります。
製造現場をはじめ、全ての職場や生活環境には、被災する危険が潜んでいます。そして、私たち自身の中にも、そのリスクや原因が存在します。
リスクを顕在化させないための取り組み、これがとても重要であることは言うまでもありません。
私は1987年から今日までに、多くのビジネスパーソンやアスリート、学生、研究者の皆さんの、能力開発をサポートしてきました。
このSeSMaTが、「危険回避の観点からも非常に有意義だった」という感想を頂きます。
このタイトルでは、ヒヤリハットやポカヨケ、危険予知トレーニング、安全対策などに触れながら、SeSMaTをカスタマイズして提供します。
お伝えする内容は、
1.意識の方向性とあるべき心構えの理解。
2.自身の癖を見つめる。
3.危険予知と安全対策の発展。
4.被災しないコンディションを整える。
5.二つのカイ感が生産性を飛躍的に高める。
6.スローガンとアファーメーションの相違点と共通点。
アファーメーションについては、この本に詳しく書きましたから、参考にしてください。
少しご紹介しますと、私達は様々な場面で“内的な独り言”を喋っています。「この“内的な独り言”が人生を作っている」と言っても過言ではありません。この“内的な独り言”を適切にマネジメントして成りたい自分になる、その為のメソッドがアファーメーションです。
本題に戻りましょう。
実施方法は、様々なスタイルが可能です。
●1時間〜2時間程度の講演。
●2時間〜12時間程度のセミナー
●2日〜1年間に渡る本格的なプロジェクト
この様に、様々なスタイルでの実施が可能です。
私は20代前半の頃、大阪の門真市にあったオートメーション機械の製造会社で、従業員として2年間お世話になった経験があります。
あれから30年以上が経った今、こうして“ものづくり”の現場に恩返しできることを、とても嬉しく感じています。
御社の安全対策や、生き生きとした職場作りに、このタイトルを是非ご利用ください。 ご縁を頂くことを楽しみにしております。
YouTubeにアップしたこの動画「プロモーションビデオ『職場で被災しないための“安全”対策強化プロジェクトの導入』
「セミナー・講演」紹介ページ
書籍「宣言 アファーメーション・バイブル 〜言霊の生かし方〜」紹介ページ
セルシネ・エイム研究所 和田知浩
vol.311 『能力開発法のエッセンスに通じるハナタカ情報。〜暗算しながら正座すると足が痺れない?〜』 2019.4.5
テレビ朝日の番組「日本人の3割しか知らないこと くりぃむしちゅーのハナタカ!優越館」からオファーを頂き、ここ浅草橋のスタジオでインタビューに答えたのが2月24日である。
インタビューのテーマは二つ。いつもなら脳波測定器を道具に脳波研究家として答えるのだが、今回はいずれも脳波に直接は関係の無い内容だった。
3月28日のオンエアで紹介されたのはその内の一テーマだけだったので、今回はそれに絞って振り返りたいと思う。
先ほど、脳波に直接は関係の無いテーマだったと述べたが、実は大いに関係がある。しかし、「説明が難しくなるから」と、脳波の視点からの解説は現場ディレクターに却下されたのだ。番組で割り当てられるコーナーの持ち時間が短いから仕方ない。
嬉しかったのは、全く脳波に触れない解説をテレビ番組から求められたのは恐らく今回が初めてで、活動の場が少し広がった気がすることだ。
能力開発トレーナーを生業にして三十有余年、私にとって脳波測定及びその解析は、クライアントの能力開発を効果的にサポートするための道具である。
能力開発にイメージトレーニングは欠かせない。このイメージトレーニングを効果的に実践するためには、トレーニング者の脳コンディションを客観的なデータで正確に知る必要がある。
そのときの指標はアルファ(α)波である。アルファ波は単なるリラクセーションの指標ではなく、その電位が強くなればトレーニング者は“落ち着いた意識集中”状態に入っていると評価できる。すなわち、聡明な状態だ。この脳コンディションでのイメージトレーニングが効果的なのである。
この目的で長年培ってきた脳波測定及び解析手法が、異分野からも重宝にして頂き、大学や企業の研究機関からも沢山のオファーを受けてきた。それがテレビ番組からのオファーという形にも波及していたわけだ。
いかん、また前置きが長くなってきた。
閑話休題。
今回のハナタカ情報は、マルモさん投稿の「暗算しながら正座すると足が痺れない」だ。
番組が実施した検証は次のようになった。
この被験者は、ただ正座したときは11分34秒で痺れが限界に達し、暗算しながら正座したときは20分32秒で、8分58秒伸びた。
他の被験者も、4分20秒、16分0秒とそれぞれ伸びた。
今回は脳波測定をしていないので、私はこの検証現場に同席していないことをお断りしておく。
さて、この検証結果に対する私の解説は以下の通りである。
「足の痺れというのは、実は脳で感じるんです。」
「脳というのは同時に複数のことに注意を向けるというのは非常に苦手なんですね。」
「ですから、暗算にしっかりと集中していると、足の痺れを感じなくなるんです。」
当然といえば当然だが、このハナタカ情報とその検証は好評だった。
伊集院光さんが、このハナタカ情報に面白い例を付け加えた。
「長い落語をやってても全く痺れないのに・・・」
「頭下げて立とうと思ったら立てないっていうケースが、落語凄いよくあるんです。結構名人の人でも、予想外に長くなっちゃったときとかに、緞帳下げないと降りられなくなっちゃうってことが・・・」
私も昔は割と長く正座していられた。小学生の頃に通っていた書道とそろばんの塾で正座していた経験による馴れだ。
ところが今は、正座しようとすると尻と踵がすぐにはくっつかない。じわーっと尻を沈めていく感じだ。とても長時間の正座は無理だ
生活様式の変化に合わせて人の身体も馴化するのだ。
ベテラン級の落語家であっても、馴化範囲を超える時間正座していると足は痺れる。しかし、噺に集中しているから痺れを感じない。ところが実際には痺れているから立てないわけである。
先ほども言ったように、当然といえば当然の理屈なのだが、ここに能力開発のエッセンス(本質的で不可欠な要素)がある。
私が解説したコメントを改めて以下に記そう。
1.「足の痺れというのは、実は脳で感じるんです。」
2.「脳というのは同時に複数のことに注意を向けるというのは非常に苦手なんですね。」
3.「ですから、暗算にしっかりと集中していると、足の痺れを感じなくなるんです。」
コメントのキーワードは次の通りだ。
「脳で感じる」
「複数同時に注意を向けるのは苦手」
「あることに集中すると、他のことは無くなる」
ここで、主語を正確に言い直さなければならないだろう。
複数同時に注意を向けるのが苦手なのは、意識(顕在意識)である。
感覚器官で感受した情報は脳に送られて、無意識(潜在意識)が全て処理している。
すなわち、無意識は膨大な情報を刻々と処理しつつ、一筋の情報だけを意識レベルに上げているということだ。
以上が番組内容の振り返りだ。
ここからは、番組のテーマを超えた能力開発講座である。
アスリートでもビジネスパーソンでも芸術家でも誰でも、ここぞというときにビビってしまって能力を十分に発揮できないことがある。
心臓の鼓動は増し、呼吸は早くなり、身体は硬く縮こまり、意識は激しく動揺している。・・・辛い状況だ。
こんなときに思い出して欲しい。意識は一つのことにしか集中できないということを。
ヨーガの行者や高僧は、任意の一点に意識を繋ぎ留めることの達人だ。
成功する人は、“今此処”に集中して取り組むから成功率が高い。
失敗する人は、気掛かりなことに意識が振り回されてしまう。「こうなりたくない」「ああなりたくない」と、失敗場面をイメージする。
失敗する人は、なりたくないイメージをせっせと描きながら、それに抗うように頑張るから失敗する。まるで柔道の返し技を食らって背中から畳に叩き付けられるように。これを“努力逆転の法則”という。
人の努力は、イメージしたことの実現に働くのだ。
意識をある一点に集中したとき、五感は研ぎ澄まされてピークパフォーマンスを発揮する。そして、集中対象以外の情報は意識に上がってこない。
このように、意識がいわゆるゾーンに入ってピークパフォーマンスとなったとき、前頭前野の脳波はファストα波と極々遅いスローβ波までの帯域が強く出ている。
例えば、睡眠時に騒音が鳴ってもスヤスヤと眠っているときがある。
睡眠時はアルファ波よりもゆっくりの徐波、すなわちシータ波やデルタ波が優勢である。
睡眠時に騒音が鳴って目覚める場合は、徐波ブロッキング(徐波が沈静化すること)が起こっている。
逆に、騒音が鳴ってもスヤスヤと眠り続けている場合は、徐波と共に強いファストα波が平行して出る。すなわち、(脳の)ノイズキャンセリング機能の働きがファストα波の増強として観察できるのだ。
このことについては、本ブログの「ゾーンに入る鍵を握る脳波、ファストα波とは。そして、ある状態との共通点。幸運人生を生きるために改めて見直すべき潜在意識のPMF(パーソナル・マインド・フィルター)。」で既述しているので参考まで。
5年ほど前に流行った「アナと雪の女王」。その挿入歌「Let It Go〜ありのままで〜」を没入して歌う女子達が当時マスコミでも度々紹介されたが、テレビ番組からのオファーで、そんな女子の脳波を測ったことがある。
没入して(成りきって)歌うその女性は、見事にファストα波が増強していた。この状態を私は“肯定的高揚感”と名づけた。当時のブログ「“アナと雪の女王”の主題歌「Let It Go〜ありのままで〜」を聴いたときの“肯定的高揚度”を脳波測定で算出。TBS「あさチャン」からのオファーにて。」で詳しく紹介している。
改めて能力開発のエッセンスをまとめると次のようになる。
意識は、複数のことを同時に抱くことが苦手である。一筋の情報に集中したら、その他の情報は上がってこない。
イメージの下(もと)で取り組んだことが実現する。
ここぞというときにビビったら、その心身のビビリを抑え込もうとし続けない方がいい。努力逆転の法則が働いて益々ビビってしまうからだ。
ビビリの敷居に載り、その上で目的達成に向けて集中するぐらいの方が高いパフォーマンスを発揮できる。せっかくのビビリ・エネルギーは、目的達成のために有効利用するべきだ。そうしていると間もなく落ち着いた集中状態となり、ゾーンに入ることができる。
心身の強すぎる雑緊は、パフォーマンス直前の「軽いストレッチ」と「呼吸法」で解消しておけば良い。これも必要以上にやると、力が抜けすぎて本番でのパフォーマンスが高まらないから注意が必要だ。何事も“過ぎたるは及ばざるがごとし”である。
また、自信がまだ弱いために、ネガティブな方向の意識をどうしてもポジティブへ転換できない場合は、他の注目現象を作って強制的にネガティブから意識を逸らす方法もある。
例えば、スクワットの途中のような中腰を暫く維持していると、すぐに圧倒的な疲れが太腿に生じる。そうすると、意識はその圧倒的な筋肉疲れに向いて、当初のネガティブから脱することができる。
笑いを堪えるために唇を噛んだ経験があなたもあるかもしれない。これも同じ効果だ。意識は最も強い一つの筋情報しか抱けないのだから。
このように生理現象を使ってネガティブから脱し、次にポジティブへと意識を向けるというステップはグリップ力のある意識転換法である。
今回のハナタカ情報をあなたの能力開発に生かして頂ければ、番組に関わった一人として嬉しい限りである。
なお、拙著「宣言 アファーメーション・バイブル 〜言霊の生かし方〜」に、更に詳しい自己統御法を紹介している。
オンエアの画像を、弊社ウェブサイト「脳波測定/脳コン解析・・・テレビ番組協力実績」の事例59コーナーに掲載させて頂いた。
感謝。
セルシネ・エイム研究所 和田知浩
vol.310 『ソニーPlayStationVR対応ゲームソフト「テトリス・エフェクト」をプレーする片桐仁氏の没入感を脳波測定で実証したウェブCM。』 2019.1.13
昨年11月、ソニー「PlayStationVR」に対応したゲームソフト「テトリス・エフェクト」の発売に合わせて、そのウェブCMが公開された。
ソニー製品のCMを博報堂が手掛けた際に脳波測定をご用命頂くのは二度目である。
今回の件で初めてご相談頂いたのは昨年9月で、「PlayStationVR」で体験するVR(仮想現実/人工現実感。コンピューターで作る人工的な環境で、あたかもそこに自身がいるかのように感じさせる技術)効果を脳波で検証したいとのことだった。
2000年にハーバード大学医学校からレポートが発表され、ゲームソフト「テトリス」を体験したプレイヤー達が感じるその不思議な体験を「テトリス・エフェクト」と呼ぶのだそうだ。
その効果を謳った動画「『TETRIS EFFECT』 アナウンストレーラー | PS4」を案内された。
人間の体験や記憶というのは、時として不思議な感覚をもたらす。ここでいう不思議とは、日常の感覚とは一線を画す希な体験という意味だ。
24年ほど前、音響効果で私も似たような記憶想起体験をしたことがある。動画「BFS−バイノーラル7.5」の下に掲載した「説明」のとおりだ。
「PlayStationVR」対応「テトリス・エフェクト」は、一流のクリエーターが最先端の音響/CG(コンピューターグラフィックス)技術を駆使して制作したものであるから、その圧倒的な不思議体験は想像に難くない。
今回発売の「テトリス・エフェクト」は、次のような特長があるとのこと。
1.トリップ感のある映像効果
2.ゲームの展開によって変化するBGM
3.プレーヤーの操作に連動するサウンドエフェクト
4.時間とブロックの落下を止められる新システム「ZONE」
ネット上に先行告知されていた動画や資料を拝見すると、上の特長から、プレイヤーに次のような体感を生じさせることがあるようだった。
1.心地良い
2.リラックス
3.意識によるノイズキャンセリング
4.高揚感、ハイパフォーマンス
5.聡明で落ち着いた意識集中
6.トリップ(幻覚)やゾーン(好集中)などの変性意識状態
7.没入感
8.エクスタシー
9.羞恥心や焦燥感の消失
10.癒し
10月4日に赤坂の博報堂を訪ねて、CM制作チームの皆さんに脳波解説をレクチャーした後、上のような体感がプレイヤーに生じた場合のそれぞれの脳波パターンを紹介した。その脳波パターンが観察できれば、脳波の見地からも上のような体感を実証できるというわけだ。
そして、17日には博報堂のチームと共に品川のソニー・インタラクティブエンタテインメントを訪問し、実際に「PlayStationVR」対応「テトリス・エフェクト」を体験するチームメンバーの脳波を測定した。
私も「テトリス・エフェクト」をプレーさせて頂いたが、「PlayStation」はおろか、任天堂の「ファミコン」さえ遊んだことがない私には操作勘が掴めなかった。
高校生(38年前)の頃は教室で任天堂の「ゲーム&ウォッチ」に興じたし、専門学校生の頃は富士通のPC「FM-77」対応の「ウットイ」に熱中したものだ。あまりにも熱中したためか、その直後に発売されて大ヒットした任天堂「スーパーマリオブラザーズ」は、友達がやっているのを見ていても自分でプレーしたいとは思わなかった。
閑話休題
結局、「テトリス・エフェクト」の操作は他のメンバーに任せて、私はVRヘッドセットを装着したままその映像と音響を受け身で体感するに止まった。
この体験は、33年前のつくば科学万博パナソニック・パビリオンでの3D体験を彷彿とさせた。その時の映像は、シャボン玉があたかも目の前に迫ってくるものや、グライダーで飛んでいる視点の映像などで、私の心に強いインパクトを残していた。
当時は、片方に赤、もう片方に緑のフィルムが張られたメガネを掛けて、映画館のようなスクリーンに映される実写映像を見るものだった。
またまた、閑話休題
結局この日の脳波測定では良い結果が得られなかった。「テトリス・エフェクト」のVR効果が肯定できなかったというよりも、そもそも脳波測定自体に心許なさがあったのだ。
今回のCM制作は、脳波測定もガチンコ(真剣勝負)である。カメラが回っている中で被験者のタレントさんが「テトリス・エフェクト」をプレーし、脳波測定も一発勝負だ!
23日の撮影まで中5日、考えられる様々なアクシデントにも即座に対応できるように準備した。何しろ、VRヘッドセットという電気製品を頭に装着した状態での脳波測定だからノイズの影響が懸念される。
また、一般視聴者に分かり易い表示の脳波測定器と、細かな変化も見落とさないための脳波測定器の2機種を同時に利用するための二股センサーコードも用意した。
準備万端整えて撮影当日を迎えた。被験者は、個性派俳優の片桐仁氏である。
公開されたCM PS VR特別映像「【検証】『テトリスR エフェクト』で遊んだ片桐仁の脳波に衝撃の変化!!
以下のグラフは、背面グレーのグラフが片桐仁氏のこの日の基本脳波だ。そして、手前のカラーの棒グラフが「テトリス・エフェクト」プレー後の脳波である。
セルシネの「脳波測定/脳コン解析サービス」、是非!
セルシネ・エイム研究所 和田知浩 |
SeSMaT..no7 |
|
SELSYNE |
|
|
ロボ男 |
紙本やPDF本、音声ソフトで、効果的なアファーメーションを学び実践できます。 |
ロボ女 |
|
セルシネ・エイム研究所のホームページはこちらです。
COPYRIGHT SELSYNE AIM INSTITUTES. WADA CHIHIRO
|