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「セルシネのブログ『人生成功 四方山辻説法。』

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弊社代表和田知浩が、折に触れて気ままに「人生成功」に関するメッセージを投稿しています。


2013年のバックナンバー

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脳波測定サービス ファインブレイン研究会
詳 細
脳 波 研 究・・・・・本物は脳波に表れる!
サポーティング・バイオフィードバック法の構築を目指して、達人達の脳波を収集しています。


vol.246 『暗闇エクササイズの効果。フジテレビ「とくダネ!」からのオファーで立証できたこと。』 2013.12.29


今年の夏以降、フジテレビ「とくダネ!」から3回の脳波測定依頼を頂いた。1回目は、7月12日にオンエアされた「日本の涼の取り方を検証」というテーマで、「風鈴の音」「怪談話」「滝の映像」「かき氷」について判定した。

2回目は、11月12日にオンエアされた「料理の違いで初対面の親密度が変わるのか」というテーマで、「普通の料理」「焼き肉料理」「鍋料理」を比較した。

そして、本稿で紹介する3回目のテーマは、「暗闇効果の人気の秘密」だった。

「明るい場所」よりも「暗い場所」の方が心を解放しやすいことは想像できると思う。

また、脳に入力される視覚情報を極端に減らすことで、その他の感覚(聴覚、触覚、嗅覚、味覚など)が鋭敏になったり、人とのコミュニケーションにおける気づきが深まる効果もある。

学校や企業が弊社の「トータルセッション」をご利用下さり研修をする際、私もこの手法を使うことがある。非常に効果的なのだ。

番組では、婚活や企業研修、エクササイズバイクを使ったエアロビクス(有酸素運動)が暗闇で行われている様子が紹介された。
フジテレビ「とくダネ!」直撃御免コーナー〜暗闇効果。婚活、企業研修、エクササイズ

今回私が脳波測定でロケに同行したのは、株式会社ベンチャーバンクが運営する「FEEL CYCLE 池袋」である。
フジテレビ「とくダネ!」直撃御免コーナー〜暗闇効果。サウンドバイク・エクササイズ。

エクササイズの途中で照明が落とされ、それとともに思いっきり弾ける。

楽しくエキサイティングなサウンドフィットネスの様子は、同社のYouTubeチャンネルでご覧頂ける。

このエクササイズを「明るい場所」でやるのと「暗い場所」でやるのとで脳波に違いがあるのか、これを検証することが今回の私の仕事だ。

結果は、測定した4人の内3人に効果が認められた。お一人の脳波は否定的な結果となったが、その被験者の様子を見ていると、ちょっとしたアドバイスを投げかけることで改善出来るのではないかとの印象を私は持った。

暗闇効果が認められた3名は、概ねこのような測定結果だった。
フジテレビ「とくダネ!」直撃御免コーナー〜暗闇効果。脳波測定結果。

目を閉じると、後頭葉ではα波が優勢になる。開眼するとα波が減少し、β波が目立ってくる。これを「αブロッキング」という。

後頭葉ほど顕著ではないが、前頭葉でも同じようなことが起こる。目を開けていても、室内を暗くするとα波が比較的よく出るようになる。これは自明である。

今回私が注目したのは、激しく動くサウンドフィットネスの最中に暗くなった場合でも優勢脳波がβ波からα波に変わるのか? また、α波が優勢になるのなら、α波の中でもどの周波数帯域なのか? ということだった。

測定結果は、明らかな「スローα波(α1)の増強」を示した。

「暗闇エクササイズは、減量効果のみならず、心をオープンにしてストレスをも発散するに適している」ことが脳波測定で観察することが出来たのだ。

おかげさまで、セルシネの脳波測定サービスは、様々な分野でご利用頂いている。あなたも是非・・・。きっとお役に立てると思う。


セルシネ・エイム研究所 和田知浩

vol.245 『声優/歌手の寿美菜子さんのプリティフィーバー度を脳波で判定。TOKYO MX「リスアニ!TV」からのオファーにて。』 2013.12.29


10月9日にテレビ番組制作会社から電話が入った。女性(声優、歌手)の脳波を測り、提示するものでの興奮度の違いを調べたいとのこと。

何回か電話を頂く中で、番組趣旨の詳細が分かってきた。

声優で歌手の寿美菜子さんが11月20日に発売する6枚目のシングル「Pretty fever」lにちなんで、美菜子さんのプリティフィーバー度を脳波で判定したいと。TOKYO MXの「リスアニ!TV」という番組だ。
TOKYO MX「リスアニ!TV」寿美菜子さんのプリティフィーバー度を脳波で判定。

面白い!

単なるフィーバー度ならβ波を指標とすれば良いだろう。ところが今回判定するのはプリティフィーバー度だ。
TOKYO MX「リスアニ!TV」寿美菜子さんのプリティフィーバー度を脳波で判定。02

指標はミッドα(α2)波とし、細かな調整はロケ現場で行うことにした。いずれにしても、脳波測定が初めての美菜子さんにとっては未知なる手探りの冒険となるだろう。
TOKYO MX「リスアニ!TV」寿美菜子さんのプリティフィーバー度を脳波で判定。判定の指標。

手探りなのは私も同じだ。プリティフィーバー度の評価が極端に高かったり、あるいは逆に低く過ぎたりすると番組的に面白くない。リハーサル無しのぶっつけ本番の中で、適切な視点を探った。
TOKYO MX「リスアニ!TV」寿美菜子さんのプリティフィーバー度を脳波で判定。寿美菜子さんと和田知浩。

今回、判定に使用した脳波測定器はBrainPro-light「FM-828」である。
TOKYO MX「リスアニ!TV」寿美菜子さんのプリティフィーバー度を脳波で判定。くじを引く美菜子さん。

美菜子さんが一つ目に引いたアイテムは、「赤と白の甘いささやき」である。果たしてその正体は・・・
TOKYO MX「リスアニ!TV」寿美菜子さんのプリティフィーバー度を脳波で判定。赤と白の甘いささやき。

苺のショートケーキに思わず顔がほころんだ美菜子さん。
TOKYO MX「リスアニ!TV」寿美菜子さんのプリティフィーバー度を脳波で判定。苺のショートケーキ。

すかさず脳波測定でプリティフィーバー度をチェック! 緑色がプリティフィーバー度の指標としたミッドα波で、赤色が普通のフィーバー度を示すβ波である。
TOKYO MX「リスアニ!TV」寿美菜子さんのプリティフィーバー度を脳波で判定。脳波測定中。

プリティフィーバー度は12.9パーセント。
TOKYO MX「リスアニ!TV」寿美菜子さんのプリティフィーバー度を脳波で判定。判定は12.9パーセント。

12.9に苦笑する美菜子さん。
TOKYO MX「リスアニ!TV」寿美菜子さんのプリティフィーバー度を脳波で判定。苦笑する美菜子さん。

「割と低いですねー」なんて私が偉そうに発した。

例えば、100点満点のテストで正解が12.9点なら確かに低い。しかし本当は、この指標はそういうことではない・・・。ロケ現場で仕事モードがバリバリの時に、プリティフィーバー度が12.9ポイントも含有していたということだ。

こんな感じで、2週に渡るOA(11月22日、29日)で5つのプリティフィーバー・アイテムが試された。素敵な女性を横にして、とても楽しいロケだった。

私のメインの仕事は「色んな分野で頑張っている人達の能力開発をお手伝いすること」だが、こうして色んな分野で実際に自己表現している人達にお会いできるマスメディアの仕事は貴重である。

トップレベルで活躍する人達に触れ、その素晴らしさを肌で感じ、人脈をも得て・・・、クライアントのサポートに大いに生かしていきたい。そのあり方こそが私の自己実現である。感謝!


セルシネ・エイム研究所 和田知浩

vol.244 『フジテレビ「とくダネ!」からの脳波測定オファーで、鍋料理の“心オープン効果”を検証して。』 2013.12.28


今回フジテレビの「とくダネ!」から脳波測定のオファーを頂いたテーマは、「料理の種類によって初対面の人達の親密度に変化は生じるのか?」というものだった。

比べられた料理は、「普通の料理」「焼き肉料理」「鍋料理」の3種類である。あなたは、どう予想するだろうか。
フジテレビ「とくダネ!」直撃御免コーナー〜鍋料理のオープンマインド効果〜3種類の料理

ロケが行われた場所は、渋谷駅から歩いて1分程の所にある「焚火家 TAKIBIYA」というお店である。
フジテレビ「とくダネ!」直撃御免コーナー〜鍋料理のオープンマインド効果〜ロケ地は焚火家

食事する被験者は各料理毎に4名が揃えられた。
フジテレビ「とくダネ!」直撃御免コーナー〜鍋料理のオープンマインド効果〜計12名の被験者

全員の脳波を測れればベストだが、今回は2名ずつを選んで測定することにした。
フジテレビ「とくダネ!」直撃御免コーナー〜鍋料理のオープンマインド効果〜脳波センサーを装着

フジテレビ「とくダネ!」直撃御免コーナー〜鍋料理のオープンマインド効果〜和田知浩

私の他にコミュニケーションの専門家として、パートナー・コミュニケーションスクールの坂井敏昭校長が参加者の様子を観察された。
フジテレビ「とくダネ!」直撃御免コーナー〜鍋料理のオープンマインド効果〜坂井敏昭氏

リポーターは、森本さやかアナ。
フジテレビ「とくダネ!」直撃御免コーナー〜鍋料理のオープンマインド効果〜森本さやかアナ

サーモグラフィーによって、被験者の温度も観測された。
フジテレビ「とくダネ!」直撃御免コーナー〜鍋料理のオープンマインド効果〜サーモグラフィー

被験者達の会話や仕草を観察しながら、坂井校長が親密度の変化を評価していく。
フジテレビ「とくダネ!」直撃御免コーナー〜鍋料理のオープンマインド効果〜被験者の様子

私はひたすら、被験者達の様子を映すモニターと脳波解析モニターを見比べながらオープンマインド(親密度)を評価した。
フジテレビ「とくダネ!」直撃御免コーナー〜鍋料理のオープンマインド効果〜脳波測定中

結果はご覧の通り、一目瞭然である。鍋料理でのα波が増えているので、他の料理よりもオープンマインドになっていると評価できる。
フジテレビ「とくダネ!」直撃御免コーナー〜鍋料理のオープンマインド効果〜脳波測定結果

きっと、鍋料理の作り方や取り方、部屋の湿度と温度などが、被験者達の心を開かせる作用となったのだろう。

正直なところ、脳波についてはもっと詳しい検証が必要だった。同じα波でも、優勢率を採るのか、含有率を採るのか、平均電圧を採るのかで結果は変わってくる。また、実験の前/中/後の脳波を比較することも重要である。

ただ、今回はもっと別の視点で興味深い脳波測定結果が表れた。被験者がどの料理に割り振られたかということだ。詳細は割愛するが、「実験する側の無意識が被験者を選択している可能性」等である。

明検法、単盲検法、二重盲検法による実験結果の差が、人のプラシーボ効果やバイアス、あるいは特殊能力を浮き彫りにするのだ。この特徴や能力の解明は、自己統制のスキルアップに役立つのである。

全てはコルパーに成るために、そしてコルパーで在り続けるために・・・。私の活動の全てはこれに収斂されている。

セルシネの「コルパー」ポータルサイト


セルシネ・エイム研究所 和田知浩

vol.243 『CDとレコードを聴いたときの脳波。違いはあるのか? 日テレ「所さんの目がテン!」からのオファーで分かったこと。』 2013.9.29


先日、「iPhone 5」が発売された。今回からNTTドコモも取り扱いを始め、キャリアもメーカーもますます鎬を削っている。世界では、発売から3日間で900万台を売り上げたそうだ。

マシーンが楽しく便利に発展することは大いにワクワクすることだが、その“質”はどうだろうか? 情報の質、画質、触感等々・・・。

携帯電話で音楽を聴く人も多いと思うが、その“音質”はどうだろう。

「ノイズが無い」ということが「最高の音質」であるということにはならない。

私が初めてCD音楽を聴いたのは、今から30年前の19才の頃で、銀座のソニービルに展示されていたものだ。ヘッドフォンを装着して再生ボタンを押すと、ノイズが一切無くいきなり音楽が鳴り始めることに感動したのを覚えている。

しかし、最先端の再生音を聞いて一番感動したのはそのときではない。一番感動した思い出は、その2年ほど前の高校時代のことだ。

発売されたばかりのカセットテープ式ウォークマンを友人が聴かせてくれたときだ。プチフォーンを両耳に装着して、教室で聴いたあのときの感動はとても大きかった。

それまでにもレコードやカセットテープは日常的に聴いていたが、所有していたプレーヤーが如何せんちゃちかった。

音についてもう一つ私の体験を紹介したい。今から24年前に発表されたある楽曲だ。今でも大ファンであるそのアーティストのシングルが発売された。少しでも早く聴きたくて、会社の昼休みに出かけて購入し、すぐにカセットを開封してウォークマンで聴きながら会社に戻った。

この人の楽曲に感化されながら私は生きてきたようなものだ。

2ヶ月後に発売されたアルバムはCD版を購入した。2ヶ月前に購入したあの楽曲ももちろん収録されている。が、しかし・・・。何かおかしい。何か物足りないと感じた。

原因はすぐに分かった。1カ所、語尾のファルセットというかハスキーになった部分がCD版では聞こえないのだ。原盤は同じはずなのに。

あのハスキーボイスが聞こえるのと聞こえないのとでは丸っきり感性が違う。

CDは、可聴周波数上限と言われる2万Hzちょっとを超える周波数成分を意図的に切られている。しかし、ハスキーボイスでも、2万Hz以下の周波数成分はある。それなのにハスキーボイスが完全に消えてしまっているのには合点がいかなかった。

その体験から24年、今回その理由?と思える情報を得ることが出来た。

今月8日(日)にOAされた日テレ「所さんの目がテン!」〜レコードの科学〜である。地域によってはこれからOAされる局もあるが、支障のない範囲で、OA画像を脳波関連ポータルサイト「NOWHADAS」に掲載した。

番組制作会社から脳波測定協力の打診を頂戴したのが2ヶ月前の7月だった。相当イレギュラーな感じて企画が進んでいるようで、正式にオファーを貰うかはまだ未定だった。

ここからOAにこぎ着けるまでの紆余曲折は一つの物語なのだが、ここでは全て割愛して、“音”に絞って話を続けたい。

日テレ「所さんの目がテン!」〜レコードの科学〜2013.9.8OA-1
レコードの出荷枚数はV字回復している。ユーザーが、アナログ音楽の感性を再認識している証拠だろう。

今回の実験では、実際に生演奏を録音し、オリジナルのレコードとCDが製作された。
日テレ「所さんの目がテン!」〜レコードの科学〜2013.9.8OA-2

日テレ「所さんの目がテン!」〜レコードの科学〜2013.9.8OA-3

このように、CDでは22,000Hz以上の音が完全にカットされている。一方レコードにはわずかではあるが残っている。
日テレ「所さんの目がテン!」〜レコードの科学〜2013.9.8OA-4

この違いが、レコードとCDを聴き比べたときの感性の違いに表れる。このことは昔から言われていることだし、番組でもそのように話が展開された。

しかし、CDとレコードの違いはそれだけでなく、可聴周波数帯域でもハッキリと違うのではないか。このことを私は知らなかった。

音色というのは、その音にどれだけの倍音が重なっているのかによって決まる。可聴周波数帯域においてもこれだけの違いがあるのなら、聴いたときの印象に差があって当然である。

ちなみに生演奏のグラフはこの通りだ。
日テレ「所さんの目がテン!」〜レコードの科学〜2013.9.8OA-5


レコード世代ではない若者も、10人中7人がレコードに軍配を上げた。この現場には私も同席していたが、脳波測定が気がかりで、CDとレコードの音を聴き分ける余裕はなかった。
日テレ「所さんの目がテン!」〜レコードの科学〜2013.9.8OA-6

若者達の多くは、ハッキリとその違いを感受したようだ。
日テレ「所さんの目がテン!」〜レコードの科学〜2013.9.8OA-7

この女性が言う「遠近感があって・・・」ということは、その音に、生演奏した空間に生じた微かな反響音も含まれていることを示すのだと思う。

結局このミュージック・バー(代々木VILLAGE内)では時間が押してしまって全員の脳波を測ることは出来なかった。

日を改めて、今度はD&M恵比寿リスニングルームで再び聴き比べてもらい、その脳波を測定した。日程の調整ができた7人が再集合してくれた。

日テレ「所さんの目がテン!」〜レコードの科学〜2013.9.8OA-81

日テレ「所さんの目がテン!」〜レコードの科学〜2013.9.8OA-9

日テレ「所さんの目がテン!」〜レコードの科学〜2013.9.8OA-10

日テレ「所さんの目がテン!」〜レコードの科学〜2013.9.8OA-11
当然、常在脳波に劇的な違いが出るわけではないが、α波とβ波の優勢率を算出すると、感性が如実に表れた。

日テレ「所さんの目がテン!」〜レコードの科学〜2013.9.8OA-12
肯定的な結果ではなかった2人の内の1人は、被験者として不適任であることが明らかだった。簡単に言えば、「実験参加意欲が強くて、頭で色々考えていた」ということだ。

もちろんこの責任は、被験者ではなくて実験する側にある。

私は「セルシネ・エイム研究所」を主宰しているが、人員は私一人だ。独りで出来ることは高が知れている。だがこうして、テレビ番組や大学、企業、自己統制の達人などからオファーを頂いて色んな脳波を測定できている。

今回の、プロの生演奏を録音してレコードとCDを製作し、それを忠実に再生できるシステム、そして被験者など、揃えようとすると大変なことである。

これらの経験を、本来の目的である「サポーティング・バイオフィードバック法」に生かしている。

“脳波”を通じて沢山の出会いを頂いていることに、感謝の気持ちが溢れてくる。

セルシネの脳波測定サービス。是非、奮ってご利用頂きたい。


セルシネ・エイム研究所 和田知浩

vol.242 『アルファ波が強いと素晴らしい・・・?』 2013.8.26


あなたの考えはどうだろうか? そもそも、“強いアルファ波”と聞いたときに、何μV(マイクロ・ボルト)ぐらいをイメージしただろうか? ある人は10μV程度、別の人は100μV程度、それぐらいの開きがあったとしても不思議ではない。

あるいは、[μV]という単位の想像もつかずに、単に“大きい”というイメージだけだった人も多いだろう。

そのように各々が違う前提条件を、しかも漠然と想定する中で、「アルファ波が強いとリラックスしている」とか、「アルファ波が強いと集中力が増している」とか、「アルファ波が強いと呆けている」とか、「アルファ波が強いと眠気を感じている」とか議論しても無意味である。

また、脳波測定器の仕様によっても表示される脳波のボルテージは全然違ってくるし、頭のどの部位を測定するかによっても違う。

さらには、脳波は非常に微弱な電位であるからノイズ混入の影響も大きい。ほとんどがノイズである測定結果を見ながら評価する愚を犯してはならない。

私は、気律脳波の達人「ザ・マスター」を脳波測定によって認定しているが、その認定条件を以下のように明確に設定している。

「意識を集中すると40fsμV以上のアルファ波もしくはシータ波が3秒以上継続的に出現する。あるいは、10秒間に6回(1秒単位)以上出現すること。また、該当脳波の揺れ幅は、1Hz未満に収まること。さらに、普段の閉眼安静時には該当脳波が20fsμV以下であること。具体的な周波数帯域は、6Hz以上14Hz未満(スローシーターは除外)とする。」

[fsμV]の“f”は、フューテックエレクトロニクス社製の脳波測定器「FM-929」を用いた値という意味である。

“s”は、弊社(セルシネ・エイム研究所)の認定を受けたオペレーターが測定した値という意味である。

[μV]に“fs”を設けている趣旨は、既に述べたとおり、測定値を同じ基準(測定器の仕様)に統一すること、そして、一定以上の測定技術(脳波とノイズを分けて測定できる能力)を有した者が得た測定値であることを示すものである。

どのような立場(分野)で脳波測定に携わっているのかで、注目する視点や評価能力は違ってくる。

医療関係(脳波検査技師や判読医)では、非常に高い能力を有している人が多いが、達人脳波なるものには無頓着だろう。

感性評価をする人達は、非常に強いアルファ波に出会うことは希だろう。普通の人の脳波を測る場合、数μVから精々20μV程度(「FM-929」の仕様で測った場合)である。

エンターテインメントで用いられる脳波測定器の中には、脳波以外の生態情報(筋電など)も加味して動作させているものもある。そのことをユーザーは知らずに使っているケースも多々見受けられる。

ブレイン・マシーン・インターフェースの分野で脳波に携わっている人達は、大きなノイズとの格闘だろう。今後の発展が楽しみである。

私は脳波の研究を始めて27年になるが、もしも測定結果に病気を示す波形があったとしても見落とすだろう。私の専門はあくまでも「バイオフィードバック訓練」であり、そこから派生した「精神コントロールの達人脳波」である。今後も、明確な目的と柔軟性を持ってプロジェクトを進めていきたい。

脳波に関する様々な意見や感想があると思うので、改めて私の立場と見解を明確にしておきたいと思いこのブログを投稿する。


セルシネ・エイム研究所 和田知浩

vol.241 『フジテレビ「とくダネ!」で、涼の取り方【風鈴の音】【怪談話】【滝の映像】【かき氷】の効果を脳波で検証。』 2013.7.19


フジテレビの朝の情報番組「とくダネ!」から脳波測定のオファーをもらったのが今月10日、翌11日には東京駅近くの某会議室でロケが行われ、そのまま徹夜で編集作業をして翌朝の番組でオンエアされた。

私がロケ先から自宅に戻ったのは22時前だった。脳波解析データを画像36枚にまとめてディレクターにメール添付で送った時には24時を少し回っていた。送信の確認電話をディレクターに入れ、不明な点や相談があったら何時でもいいので電話を下さいと伝えた。

その後私は仮眠に入ったが、その間も編集作業が進められ、3時過ぎにディレクターから電話が掛かってきた。確認事項を了承し、やっと寝床に就くことができた。

そして8時、いつものように「とくダネ!」が始まった。
オープニング−フジテレビ「とくダネ!」2013.7.12

今回オファーを頂いたコーナーのテーマは、「日本の涼 検証」で、『風鈴の音』『怪談話』『滝の映像』『かき氷』という涼を取る方法が本当に効果的なのかの検証だ。

オンエアの画像を弊社脳波関連ポータルサイト「NOWHADAS」のテレビ番組紹介コーナーに掲載しているが、これとは違う画像をピックアップしながら紹介したいと思う。

検証に使われた測定器は、サーモグラフィーと非接触型温度計、体温計、血流観察装置、そして脳波測定器の5アイテムだ。私が担当した脳波測定は、簡易脳波測定器BrainPro-light「FM-828」を用いた。
脳波測定−フジテレビ「とくダネ!」2013.7.12

そして、被験者は気象予報士の天達武史氏ら4名で、30代男性、40代女性、50代男性、60代女性が集められていた。
4人の被験者−フジテレビ「とくダネ!」2013.7.12

国保ヘルスアップ事業支援協議会の吉田省司理事長が用意された血流観察装置がこれだ。指先の毛細血管と、それを流れる血液の様子がよく分かる。
血流観察−フジテレビ「とくダネ!」2013.7.12

まず初めに、基準となる脳波を得るべく4名それぞれの脳波を2分間ずつ測定した。室温は30℃、控え室はもっと暑かったようである。
基準脳波測定−フジテレビ「とくダネ!」2013.7.12

一つ目の実験は『風鈴の音』だ。梅津弥英子アナが団扇で風鈴を扇いで絶妙の音色を10分間奏でた。
風鈴の音−フジテレビ「とくダネ!」2013.7.12

そして、脳波測定の結果がこれである。ご覧頂きたいのは、優勢率(右側の棒グラフ)である。各脳波棒グラフの奥側クリーム色が基準脳波で、手前のカラーが『風鈴の音』を聞いた直後の脳波だ。
脳波グラフ−フジテレビ「とくダネ!」2013.7.12

θ波やα波、β波などの脳波の種類と特徴は、脳波関連ポータルサイト「NOWHADAS」→「脳波の豆知識」→「脳波の種類」コーナーに掲載している。

一番変化したのがθ波で、15.0ポイント減った。すなわち、暑さでボーッとした状態が収まったのだ。逆に、スッキリ感の指標であるα2(ミッドα)波が5.8ポイント増えた。

残念なのは、セカセカ感の指標であるβ波の優勢率も8.3ポイント増えてしまったことだ。覚醒度が上がったとも言えるが、やはり良い状態とは言いづらい。ただし、左側棒グラフのβ波平均値(電圧)はさほど上がっていない(0.2μV上昇)ので、セカセカ感が上昇したというよりも、気が散った(散漫になった)時間が増えたと評価すべきだろう。

その後の実験は、立川談幸師匠の『怪談話』。(落語家の噺を生で味わったのは人生初の体験だった)
立川談幸師匠の怪談話−フジテレビ「とくダネ!」2013.7.12

『滝の映像』。(OAでは、飛ばされて最後にスタジオで上映された)
滝の映像−フジテレビ「とくダネ!」2013.7.12

最後の『かき氷』へと続いた。
かき氷−フジテレビ「とくダネ!」2013.7.12

全ての実験が10分ほどで、一つの実験が終わる毎に、体温、皮膚温、血流、脳波の測定が行われた。

今回の実験では、天達武史氏に最も効果的な涼の取り方は『滝の映像』であることが分かった。β波、α3波、α2波の優勢率はほとんど変わらず、α1波の優勢率が9.2ポイント増え、θ波は逆に9.3ポイント減った。

一目瞭然の脳波解析グラフをお見せしたいが、OAで使われていないので、このブログに掲載することは控えたいと思う。

私のこのコメント「ボーッとした状態から、落ち着いた状態に変わった」が最も当てはまったのが、『滝の映像』だったのである。
ボーッとした状態から落ち着いた状態へ−フジテレビ「とくダネ!」2013.7.12

α波が強く出ると、鮮明なイメージを描きやすいから、身体もより涼感に反応しやすくなる。そして・・・
α波が増えるとイメージが・・・−フジテレビ「とくダネ!」2013.7.12

ひいては、「心頭滅却すれば火もまた涼し」の境地に達するのだ。
心頭滅却すれば・・・−フジテレビ「とくダネ!」2013.7.12

ただ、この日の天達武史氏は、上に紹介した脳波解析グラフのように、一貫してβ波優勢の脳波バランスだったため、毛細血管内の血流や体表面温度には目立った変化が起きなかったようである。
体表面温度−フジテレビ「とくダネ!」2013.7.12

スタジオでは、菊川怜さんが、「太陽の陽射しを浴びているイメージで、実際に汗が出てくるようになる」という俳優のトレーニングメソッド「感覚訓練」を披露した。
俳優のメソッド−フジテレビ「とくダネ!」2013.7.12

今回実験した『風鈴の音』『怪談話』『滝の映像』は、脳波測定の見地からも一定の効果が認められた。

『かき氷』については、下がりすぎた体温を自律機能が上げようとするため、逆に熱くなってしまうこともあるようだ。少しの量をゆっくりと食べることが大切とのこと。『かき氷』を食した後の脳波は、4名がバラバラの反応を示した。涼を得るためには、しっかりとした管理(食べ方)が必要なようだ。


セルシネ・エイム研究所 和田知浩

vol.240 『第1回 気律脳波の達人「ザ・マスター」認定証授与式までの歩みと今後の展望。』 2013.7.18


気律脳波の達人「ザ・マスター」の第一号合格者が誕生した。コアエネルギーチューナーの吉村竜児氏である。
第1回「気律脳波の達人『ザ・マスター』認定証授与式での吉村竜児氏と和田知浩

吉村氏との出会いと協同研究発足の経緯は、このブログに投稿した「お客様から協同研究者へ。エネルギーワークサロン「TWINS」代表、吉村竜児氏との出会い。」で既にご紹介しているとおりだ。

その後、4月24日には、ボランティアのクライアント役を募って「CET脳波共鳴研究」を実施し、CETの施術者と被施術者との間に脳波共鳴が起こるか検証した。

5月30日には、気律脳波の達人「ザ・マスター」検定を吉村氏が受検され、見事合格された。

この「CET脳波共鳴研究」と「気律脳波の達人検定」の様子、そして、「吉村氏の実際の脳波と私が脳波解説」した動画を、「気律」紹介ページの該当コーナーに掲載した。

また、吉村氏は、5月1日付で株式会社マインド・エナジー・サイエンスを設立された。コアエネルギーチューニングサロン「TWINS」では引き続き個人のクライアントを対象としながら、今後は法人や団体向けのサービスも展開されていく予定だ。

弊社は、2009年に「ファインブレイン研究会」を、昨年(2012)7月に「“気律”脳波研究プロジェクト」を、そして同年8月に「気律脳波の達人『ザ・マスター』認定制度」をそれぞれ部会的に発足してきた。

それぞれの時期にそれぞれの人との縁によって触発され、また、一貫して私をサポートして下さっている人達に支えられながら歩んできた。

今回、気律脳波の達人「ザ・マスター」の第一号を発掘し認定できたことは、これまでに私が展開してきたプロジェクトの一つの成果である。動画「第1回『気律脳波の達人“ザ・マスター”認定証授与式』とインタビュー」でも述べているとおり、この成果を「サポーティング・バイオフィードバック法」の構築に、そして、本物の気律能力者の活動支援にしっかりと繋げていきたい。


セルシネ・エイム研究所 和田知浩

vol.239 『フジテレビ「めざましテレビ」で、“朝カラオケ”効果を脳波で検証。』 2013.6.19


今年2月に脳波測定サービスをご利用頂いたフジテレビの情報番組「めざましテレビ」から、新たに脳波測定のご用命を頂いた。

前回の様子は、このブログに「やはり女子アナは聡明なのか?。TBS田中みな実アナとフジテレビ松尾翠アナの脳波を測定して。」のタイトルで投稿した通りである。

今回も「ココ調」のコーナーである。
フジテレビ「めざましテレビ」で“朝カラオケ”の効果を脳波で検証。ココ調タイトル。

テーマは、最近ブームを見せ始めている“朝カラオケ”が、仕事前の脳コンディション作りに役立つのか、脳波分析で明らかにしようというもので、朝スッキリの定番“朝シャワー”との比較だ。
フジテレビ「めざましテレビ」で“朝カラオケ”の効果を脳波で検証。実験フロー。

被験者は一人の男性で、2日間の早朝ロケとなった。新宿のホテルで起床直後の脳波を測定し、シャワーを浴びてからお台場のフジテレビにマイクロバスで出社。もう一方の朝は、新宿でカラオケを歌った後にマイクロバスでフジテレビに出社した。

今回使用した脳波測定器は、BrainPro-light「FM-828」である。
フジテレビ「めざましテレビ」で“朝カラオケ”の効果を脳波で検証。脳波測定器は「FM-828」を使用。

“朝シャワー”と“朝カラオケ”の後、それぞれの朝にオフィスの席に着席して、閉眼安静の脳波を2分間測定した結果がこれである。
フジテレビ「めざましテレビ」で“朝カラオケ”の効果を脳波で検証。脳波測定結果のグラフ。

縦軸は優勢率[%]で、1秒毎に一番強く出ている脳波を積算したものだ。青棒グラフの“朝シャワー”は10%程のアーチファクト(人体的ノイズ)が発生し、赤棒グラフの“朝カラオケ”では1%程発生したので、合計が100%にはなっていない。

横軸は周波数別の脳波である。徐波から速波へと順番に並べるなら、θ波(5Hz前後)、スローα波(7.5Hz前後)、ミッドα波(10.0Hz前後)、ファストα波(12.5Hz前後)、β波(22.0Hz前後)となる。

一目瞭然、両者の違いはミッドα波とスローα波に出た。“朝シャワー”はミッドα波が優勢で、“朝カラオケ”はスローα波が優勢となった。
フジテレビ「めざましテレビ」で“朝カラオケ”の効果を脳波で検証。脳波測定結果を解説する和田知浩。

よって、“朝シャワー”後に出社すると「すっきり集中」、“朝カラオケ”後に出社すると「ゆったり集中」の状態であると評価した。キックオフ直前の脳波としては、どちらも良い状態である。

実は、凡人と達人とではこの後に違いが出てくる。凡人は「せかせか集中」のβ波が優勢となり、達人はα波の優勢が変わらないままそのボルテージがより強くなる。

ちなみに、ファストα波が優勢になれば「はっする集中」と呼ぶ。気力がみなぎってハイパフォーマンスが発揮できる脳コンディションである。

当然、一人の被験者で、それもただ一回ずつの脳波測定では断定できるはずもないが、なかなか面白い結果が出たと思う。できれば、会社近くでシャワーなりカラオケなりを利用した方がより効果的であろうことは想像に難くない。

また、朝の脳波というのは、前夜の過ごし方からも大きな影響を受ける。今回の脳波測定でもそのことが影響しているのだろうことを、移動中のマイクロバスでの雑談で知った。

多くの事象は、水面下で連鎖しながら展開している。脳波も然りである。

今回の脳波測定結果の違いは、シャワーとカラオケの要因以上の影響が及んでいた可能性が強い。改めてその辺りを追試してみたい。

話を戻そう。

ロケ現場で、カラオケが朝のキックオフに効果的な理由を解説したが、その内容はスタジオでアナウンサーが伝えてくれた。自分の発言が原稿となってアナウンサーが表現するという経験は、ちょっと嬉しものだ。
フジテレビ「めざましテレビ」で“朝カラオケ”の効果を脳波で検証。生田竜聖アナと皆さん。

スタジオで生田竜聖アナが解説した「カラオケの脳活性効果」を補足しつつ紹介しておこう。

1.深呼吸によって酸素が十分に供給される。
これによって、脳をはじめとする全身の器官がエネルギーを効率良く利用できる。

2.口を動かすことによって、効果的に脳を刺激する。
脳の感覚野と運動野は、口関連系の占める割合が非常に大きい。よって、口をしっかりと動かす動作は脳を大きく刺激するのだ。「ペンフィールドの脳内小人」として有名な絵があるので、ネット検索してみて欲しい。

3.曲に乗って歌詞を発する暗示効果。
セルフ・アファーメーション(自己宣言)効果である。この方法はビジネスマンやアスリートをはじめ、自身をより良く成長させたい人達が用いているメソッドである。「アファーメーションの高速記憶音追唱」という動画を制作しYouTubeにアップロードしているので試してみて欲しい。

これら3つの相乗効果で、脳が効果的にスタンバイするのである。もちろん、歌詞の内容は重要である。

以上、フジテレビの「めざましテレビ」(17日OA)、「めざにゅ〜」(19日OA)に出演させて頂いた振り返りである。感謝。


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セルシネ・エイム研究所 和田知浩

vol.238 『NHK Eテレ「テストの花道」〜集中力を支配する!〜(4.29OA)。脳波解説の捏造にもの申す。』 2013.5.3


NHK Eテレ「テストの花道」は、私の好きな番組の一つだ。大学受験に挑む高校生達の勉強を応援するテーマで、30分の放送時間に良くまとめられている。大人の頭脳活性化にも大いに役立つ。

しかし、先月29日にオンエアされた「集中力を支配する!」の回では、看過できない捏造が行われた。

“集中力”をテーマとした内容は関心が高く、弊社への問い合わせも多い。

昨年10月にオンエアされた同番組「集中のスイッチON!」の回では、集中力と脳波について同番組の制作スタッフから取材も受けている。

テレビを観る側だった昔の私は、テレビ番組などで“脳波”が変に扱われると、その都度ウェブ上で指摘や反論をしていた。

しかし、テレビ番組に出る側となった今は、いちいち指摘することは無くなった。“人の振り見て我が振り直せ”で精一杯だからだ。自分が関わった番組のオンエアを観て、“後の祭り”感を味わったことも少なからずある。

間違いは誰にでもあるし、意思疎通を欠いたことが原因だったりすることもある。それぞれにそれぞれのプレッシャーもあるだろう。

ただ、今回の同番組の脳波解説は、“捏造”と指摘せざるを得ない。番組内容の全体は良かった。それだけに、“脳波”だけが歪めて使われたことに憤っている。

以下の斜体文は、同番組ウェブサイトの「集中力を支配する!」の回の紹介文である。

「勉強に役立つ集中力スイッチON&OFFのコツをキミに伝授!さらに、集中力が必要とされる各界のプロが秘策を紹介。集中力を思うままに支配するノウハウの数々を送る。・・・好評のテーマ“集中力”。今回は、集中力を自在に支配するチカラを伝授。物事に集中できないのは、脳の中が散らかり、一つの作業を効率よく行えない状態。いわば、まな板の上に、ものがいろいろあって調理できないようなもの。キミの“脳のまな板”を使いやすくする秘策と、集中力を完全には切らさず、思いのままに回復させる極意を紹介。所ジョージ顧問、城島茂部長も、目からウロコのノウハウが満載だ!」

ちなみに、今回番組で使用された脳波解析システムは、弊社が販売/レンタルをしている脳波測定器「アルファテック4」と、これに付属している脳波解析PCソフト「マインドセンサー5」である。

それでは、問題の部分をピックアップしていこう。ナレーションは斜体で記す。

「今回は、集中していると現れる脳波、α波を測定する。」
集中していると現れるα波。

「集中している状態だと、α波は高い値を示し、さらに、増減も少なく安定する。これはまさに理想の状態。」
集中している時のα波。

「それに対し、集中していないとα波は安定せず、ご覧のように激しく上下動を繰り返す。」
集中していない時のα波。

「まさに、集中の度合いがそのまま波形に現れるのだ。」
集中の度合いがα波の違いに現れる。

「集中するとα波が高い値で安定し、集中していないとα波が激しく上下動を繰り返す」とのくだりは少々問題がある。集中していないとそもそもα波は高く出ず平坦に近い。集中していないのにα波が激しく上下動するなら、それは眼球運動に起因するノイズの混入である。また、集中するとα波が高くなり、むしろ激しく上下動する。高いレベルで安定するという状態は特殊な状態で、一般的な測定現場でお目に掛かることはまず無い。

ただし、この程度のことなら看過できる。“見解の相違”と言われればそれまでのことだ。

番組は次のように続いた。

「まずは、普段の状態を知るために、おしゃべり中の集中力を測定。話題があっちこっちに飛び、注意も散らばり続けるため、α波の波形は激しいキザキザを記録している。」
激しくギザギザのα波。

「ここでおしゃべりをやめ、単純な計算問題を行ってもらった。黙々と計算をこなしていくれな。しかし、波形は乱れた状態のまま。つまり、計算問題を始めても、いまだに気が散り続けているのは一目瞭然。」
計算中もギザギザのα波。

この後、集中力を高めるための方法が紹介された。そして、それを実践した被験者(れな)が改めて計算問題にチャレンジし、その脳波が測定された。

「それではトレーニング前と比べてみよう。分かるかなー。トレーニングの効果により、グラフのギザギザが少なくなっている。つまり、集中力にスイッチが入り、それが保たれている状態なのだ。トレーニング前と比べれば、その差は歴然。」
集中力にスイッチが入り保たれている時のα波。

このシーンが問題だ。そして、屁理屈を通すために脳波再生グラフを捏造している。

集中度を測るα波の見方として、番組が紹介した文言を再度確認しよう。

「集中するとα波は高い値を示し、増減も少なく安定する。集中していないとα波は安定せず激しく上下動を繰り返す。」

すなわち、α波の“強さ”と“安定”を集中力トレーニング効果を判定する指標としている。

この指標で上の比較グラフを見て、あなたはどのように判定するだろうか?

まず、強さは・・・。赤い横線(スレッショルド。ユーザーが任意に設定できる。同じ数値に設定していると信じよう)を超えた回数は、トレーニング後の方が約半分に減っている。最高ボルテージもトレーニング前の方が高いし、平均ボルテージもトレーニング前の方が高いように見える。

今回のように目を開けて作業する状態で、額から脳波を正確に測るのは難しい。アーチファクト(眼球運動などで生じる人体的なノイズ)が混入しやすいからだ。面倒でも、電極ペーストを使って髪の毛のある部位から測定するべきである。

さて、安定は・・・。これが、今回の捏造の核心である。確かにキザキザが減って安定しているように見える。しかしこれは、「マインドセンサー5」の時間軸の送り幅を画面上で長く(時間ブロックを小さな数値に設定してクローズアップ)する機能によるものである。

波形が安定したわけでなく、トレーニング前のグラフよりも時間軸を伸ばして再生しているのである。オンエアされた動画を見るとよく分かるが、トレーニング前のグラフを再生する時は青い縦線が細かく進み、トレーニング後の時は大幅で進んでいく。

よって、トレーニング前と後のグラフでは、後の方が「マインドセンサー5」の画面上では早く進んでしまう。それがほぼ同じ所要時間となるように、番組の編集では“早送り”の速度を調整している。

なぜこんな捏造をしたのだろうか? 脳波は正直である。集中力トレーニングに効果があるなら、必ず脳波に現れる。期待した脳波が出ないなら実験方法を吟味して欲しかったし、別の指標(脳波の別の視点)を見ることもできる。それでもだめなら、脳波実験は潔くボツにして欲しかった。

この捏造は視聴者をバカにしているし、脳波測定に従事している我々にも失礼だ。そして、出演者もだましている。たぶん。
「波形が違いましたね」と城島部長。

そもそも、折れ線グラフが安定している方が良いとなぜ思っているのだろう。繰り返すが、集中力が高まりα波が賦活してくると、グラフはむしろ激しくキザキザになる。高いレベルで安定して推移するというのは特殊な例だ。

もしかすると、「脳波の原波形」と「脳波周波数スペクトルの折れ線グラフ」を混同しているのではないだろうか?

このグラフは、「マインドセンサー5」で再生した脳波の原波形と各周波数のスペクトル棒グラフだ。左がβ波優勢時、右がα波優勢時のグラフである。
β波優勢とα波優勢の比較。脳波の原波形と周波数スペクトル棒グラフ。

β波優勢からα波優勢に変わると原波形は滑らかになる。分散緊張集中のβ波に比べて、落ち着いた一点集中のα波の方がキザキザ感は減る。そして、ボルテージも比較的強くなる。

この番組は、明日4日(土)午前10時に再放送される予定だ。


追記2013.5.21
問題の部分をピックアップして動画を編集しました。

追記2014.6.10
動画を配慮版に差し替えました。
NHK Eテレ「テストの花道」〜集中力を支配する!〜(4.29OA)。脳波解説の捏造にもの申す。


セルシネ・エイム研究所 和田知浩

vol.237 『日テレ「所さんの目がテン!」−「朝の科学」「鉄道博物館の科学」。先月は2つのテーマで脳波を測定した。』 2013.5.2


4月は、日テレ「所さんの目がテン!」に2回出演させて頂いた。同番組は23年の歴史を持つ長寿番組だが、4月からOAが日曜朝(地域によっては遅れて放送される)に戻ってきた。

これを記念して、7日の放送は「朝の科学」だ。そして28日の放送はGWまっただ中ということで、家族で楽しめる「鉄道博物館の科学」だった。

この2つの番組の制作を担当した制作会社は違うが、いずれの会社もディレクターが若い女性だった。

まず、「朝の科学」で弊社にご用命頂いたのは、被験者の睡眠から目覚めの脳波を測定し、覚醒刺激を与えてから実際にスッキリ目覚めるまでの時間を判定して欲しいというものだった。

睡眠−覚醒を判定するためには、脳波の他に筋電や眼球運動などの複数の指標を併用することが望ましいが、今回は、前頭葉ワンポイントの脳波を測ることだけで試みた。

使用した脳波解析システムは、高性能簡易脳波測定器BrainPro「FM-929」脳波解析PCソフト「Pullax Pro」のセットだ。

実際には、δ波の帯域である3.0Hzからβ波の帯域である30.0Hzまでを0.5Hz刻みでモニターしたのだが、番組では視聴者に分かりやすくするために10.0Hzの(ミッド)α波だけに絞って解説された。

それが、以下の画面である。
寝ている時と起きている時のアルファ波。

左が寝ている時のα波で、右が起きている時のα波である。縦軸はボルテージ、横軸は時間のスペクトルグラフである。

後頭葉では、目を閉じると比較的強いα波が出る。そして、目を開けるとそのα波は弱くなる。これを“αブロッキング”という。

今回測定した前頭葉は、目を閉じてもすぐにはα波が強くならない。雑思考が強く働いているからだ。しかし、しばらくして雑思考が沈静化してくるとα波が強く出始める。それが右のグラフである。

ただし、強いα波といっても縦軸のフルスケールは25μVに設定している。いわゆる達人が出す40μV以上のα波とは違うことをお断りしておく。

入眠時の脳波分布グラフ。ベッドに入って目を閉じているとα波が優勢になる。そして、しばらくするとα波は沈静化してθ波やδ波が賦活してくる。このタイミングが入眠である。

このグラフは、私自身の入眠を捉えた脳波分布グラフである。

詳しくは、「FM-929」紹介ページの「入眠時の脳波測定例」コーナーで解説しているのでそちらに譲るが、測定開始から3分辺り(縦軸の上から下へ時間は流れている)からα波は途切れ、代わりにδ波やθ波が賦活してきているのが分かる。

このα波だけのスペクトルをグラフにしたものを番組では紹介したという訳だ。

ただやはり、入眠や覚醒をリアルタイムに判定するのはとても難しい。

よって、補助ツールとして被験者を映すモニターを必ず用意して頂く。

当初は、起こし方として色々な方法を検討されていたが、結局「3種類の音楽の中で一番目覚めの良いものは・・・」ということになった。その結果、一番目覚めが良い音楽には、姉貴の「あの鐘を鳴らすのはあなた」が輝いた。
終夜脳波を測定中。
ディレクターにご来訪頂いての打ち合わせ。制作会社による予備実験、そして、私がたまたま私用で出かけていた渋谷での急遽打ち合わせなど、綿密かつ精力的に実験の準備がなされていった。

その中で、心地良い目覚めの時にはα波のある特定の周波数が面白い動きをするなど、“宝”かとも思える仮説的発見もあったが、残念ながら本実験ではそこまでの解析はできず、単に目覚めのタイミングを判定するだけとなった。

被験者に要らぬプレッシャーを与えずに実験することができれば、きっと“宝”を見いだせるはずである。

二人の終夜脳波を三日連続でモニターする実験は、私自身にとっても大変貴重な経験となった。


28日にOAされた「鉄道博物館の科学」も楽しく、そして大変興味深い脳波データを得るロケとなった。

今、鉄道博物館が全国で大人気なのだそうだ。なかでも、運転シミュレータは“やみつき”となって何度も通うという人が多いとのこと。

その“やみつき”となる理由を脳波測定で解明しようというのだ。

8名の被験者が電車の運転シミュレータに座った時、そして運転している時の脳波を測定した。

8名の中には鉄道の大ファンが何人かいる。しかし、その内訳を私は知らされていなかった。

順番に測定していくと、それまでの人とは明らかに違う脳波を出す人が現れた。私が指摘するまでもなく、撮影スタッフも一目瞭然というほどの違いだ。そこで初めてディレクターから教えてもらった。「鉄道ファンはもう一人います」と。

その人も簡単に言い当てることができた。難しい解析は必要ない。脳波を初めて見るスタッフですら簡単にその違いが分かるほどだ。運転シミュレータに座っただけでこれだけハッキリと違う脳波が測定できるとは、私自身も予想していなかった。

ロケ後もディレクターと脳波解析を侃々諤々とやりながら、OAの数日前まで遣り取りが続いた。ディレクターがカメラを持参して、弊社で追加の撮影もした。

鉄道シミュレータにはまる理由・・・。その一端がご紹介できたのではないかと思う。

実は、今回のOAでは紹介されなかった別の“宝”が脳波測定結果の中にあった。それは、鉄道ファンが運転シミュレータを操作している時の特徴だ。

たぶん「説明がややこしくなる」という理由で、その紹介は見送られた。

実は、この“宝”を発見したのはディレクターだった。私が提供した資料「各脳波の特徴」を参考に発見されたのだ。

私は、“視聴者に分かりやすく”という理由で予め表示脳波を絞り、解析時にもそれ以外の脳波は眼中に無かった。私としたことが・・・

ディレクターが気づいたこの脳波は、まさにハイパフォーマンスを発揮する人の特徴的脳波だったのだ。

運転シミュレータがやみつきになる人の脳波。そして、(今回のOAでは紹介されなかったが)ハイパフォーマンスで運転する人の脳波・・・。地域によっては3週遅れでOAされる局もあるのでまだ紹介できないが、有意義なプロジェクトだった。

大宮の鉄道博物館。
開館日には来場者でごった返す展示場も、この日はひっそりとたたずんでいた。


もちろん和田アキ子さんが姉貴というのは冗談である。念のため。


セルシネ・エイム研究所 和田知浩

vol.236 『お客様から協同研究者へ。エネルギーワークサロン「TWINS」代表、吉村竜児氏との出会い。』 2013.4.3


先月12日に「TWINS」の代表吉村竜児氏から初めて問い合わせがあり、同月27日には正式に「脳波測定サービス」のご用命を頂いた。実施日は今月24日(水)である。

吉村氏が開発されたというCET(コアエネルギーチューニング)のクリアリング効果を検証することが目的とのこと。

施術者は、吉村氏の他に、吉村氏の奥様、そして吉村氏のお弟子さんの計3名。それぞれが2名ずつの施術を予定しているとのこと。

この検証実験に万全を期するために、事前の打ち合わせを提案した。快くご承諾下さり、昨日ご来訪頂いた。

当日の時間割や脳波を正確に測定するための施術方法などを打ち合わせた。

そして最後に、私がクライアント役となり、実際に吉村氏からCETのクリアリングを受けてみた。が、ピンとこない・・・。元来鈍感な私である。

1日経った今は、“心地よい脱力感”があるかな?と言ったところだ。

エネルギーワークを受けた実感はこの程度だが、私が主宰する気律脳波研究としての協同研究を申し入れた。

理由は、理論面に共感できること、そして何より、吉村氏自身の脳波である。

吉村竜児氏の脳波。
この脳波グラフは、昨日の4回目の測定結果だ。全体的にα波がよく出ている。ただし、この程度の“落ち着いた注意集中”状態ならそんなに珍しいものでもない。

目を見張ったのは、1分15秒の瞬間だ。左の「部分時間折れ線グラフ」では、横軸30秒手前の所になる。ミッドα波(9.5Hz)が39.5μVを記録した。そして何より波形が美しい。

δ波やθ波の帯域に、眼筋が振動することに伴うアーチファクト(人体的ノイズ)が全くない。

ヨーガ行などで精神修養した人が瞑想するとα波のボルテージが高いが、その際、眼筋が振動してしまう人が多い。眼筋が振動するとδ波やθ波あるいはα波の帯域に筋電がアーチファクトとして混入してしまい、脳波研究には適さないのだ。

上に紹介したグラフは1秒毎のデータであるが、このポイントを更に詳しく解析すると、0.06秒間は40.0μV以上で、最高は41.1μVだった。

これは、弊社主宰「ファインブレイン研究会」が設定した達人認定基準に後一歩の高レベルだ。

施術の効果はよく分からないが、吉村氏の脳波が達人の片鱗を見せたことは確かである。

吉村氏にお願いし、気律脳波研究を協同で行うことにした。研究タイトルは「CET脳波共鳴研究」である。

CETのクリアリングを受けたクライアントからは、「何ヶ月も給料を踏み倒していた社長が急にお金を振り込んでくれるようになった。」「長年闘病していた依存症の症状がでなくなった。」「今まで苦手だった人と楽に話せるようになった。」「事業に必要な人材を求めていたら、願ってもない人と提携できることになった。」等の声が届いているそうだ。

今月24日、調布市で行う「CET脳波共鳴研究」に被施術者としてご協力頂けるクライアントを募集している。是非!

驚異的な脳波を見せた吉村竜児氏。
吉村竜児氏が驚異的な脳波を見せた直後に撮った写真。気律協同研究「CET脳波共鳴研究」プロジェクトが発足した瞬間である。


セルシネ・エイム研究所 和田知浩

vol.235 『テレビ番組での脳波測定で、人生初のダブルロケ。』 2013.3.31


3月7日(木)は、フジテレビと日テレの2つの番組ロケがあった。テレビタレントでもない私にとって、一日に複数のロケに呼んでもらうのは初めてのことだった。

その内の一つ、フジテレビ「カスペ! あなたが知りたかった禁断の裏側 ここまで見せるかSP」が先日放送されたので、さっそく脳波関連ポータルサイト「NOWHADAS」のテレビ番組紹介コーナー に掲載した。

私が脳波測定を担当したコーナーは、透視ができるというタレントさんの能力を検証するというものだった。白衣を着ているものの、今回は全くの黒衣である。

「カスペ! あなたが知りたかった禁断の裏側 ここまで見せるかSP」

事前に頂いた情報では、透視能力者であるタレントの大貫幹枝さんは、1980年に銀座で1億円を拾得した故・大貫久男氏の孫とのこと。これを聞いただけで一気に興味が高まった。何かを察知する特徴的な脳波が観察できるかもしれない。

約束の時間に病院スタジオを訪れると、既に撮影は始まっていた。

出番を待つ間、ADから簡単な流れの説明を受け、白衣の衣装も渡された。

オンエアを観ると、そのときスタジオでは、裏底に絵が描かれた紙コップを透視する実験が行われ、次いでその様子をマジシャンのマグラ氏が検証するシーンが撮られていたようだ。

大貫幹枝さんの透視能力に、トリックは無いとマグラ氏がお墨付きを与えた。

そしていよいよ我々の番だ。

医師で医療ジャーナリストの森田豊氏による医学的立場からの検証である。私は、透視実験中の大貫幹枝さんの脳波(全15回)を全て測定し記録した。今回利用した脳波測定器は、BrainPro-light「FM-828」 である。

休憩時間に、「この透視実験は、3,4年前にTBSで放映されたのに似てますね〜」と私が言うと、「それ私です」と大貫さん。私はビックリと共に益々興味が高まった。

その番組は、「超能力スペシャル2010 今夜奇跡が? 世界最強超能力者×最新脳科学 ナゾ解明プロジェクト」というタイトルで、2010年1月4日に放送された。

当時、この番組の制作に関して取材の電話を頂いた。弊社「映像配信局」にアップしていた「リモートビューイング時の脳波」 をご覧頂いたのが切っ掛けだ。

「和田さんは透視をどう思いますか?」と質問され、私は肯定も否定もせず、ただ、透視をしようとしている人の特徴的な脳波についてのみ見解を伝えた。その要点は、このブログで「リモートビューイングの能力開発に打って付け」と題して投稿している。

今回、大貫さんにもこのような脳波バランスが見られるのか目を見張った。しかし、その再現は無かった。ただ、割と強いα波が出た数秒後に強いβ波が出た瞬間があったので、そこから言える私なりの見解をロケ現場で述べた。

OAではその部分はカットされていたが(なにぶん今回は白衣の黒衣である)、ナレーションで補足されていた。しかし、そのナレーションが「無意識な状態の脳であることを示すα波・・・」と言った時にはさすがにずっこけた。少々言葉足らずである。

OAを観ると、その後、森田氏によって結論が導かれていたが、もうそのロケ現場に私はいなかった。

私は、他局のロケ現場に向かい、この日から3泊4日に渡って行われる実験に立ち会った。この模様は、来月上旬にOAされる予定である。


セルシネ・エイム研究所 和田知浩

vol.234 『やはり女子アナは聡明なのか?。TBS田中みな実アナとフジテレビ松尾翠アナの脳波を測定して。』 2013.3.15


先月は、脳波測定関連で2つのテレビ番組からオファーを頂いた。TBSの「アカデミーナイト」とフジテレビの「めざましテレビ」である。

脳波関連ポータルサイト「NOWHADAS」のテレビで利用された番組を紹介するコーナーにもオンエアの数コマを掲載している。

オンエアは「めざましテレビ」が早かったが、ロケは「アカデミーナイト」の方が早かったので、「アカデミーナイト」から紹介しよう。

「アカデミーナイト」は、今年6月に公開される映画「リアル〜完全なる首長竜の日〜」 (監督:黒沢清、原作:乾緑郎「完全なる首長竜の日」宝島社刊、企画プロデュース:平野隆、脚本:黒沢清/田中幸子、音楽:羽岡佳、キャスト:佐藤健/綾瀬はるか/オダギリジョー/染谷将太/堀部圭亮/松重豊/小泉今日子/中谷美紀、配給:東宝、助成:文化芸術振興費補助金)を取り上げた回で、映画の内容に因んで脳波や感覚にまつわる様々な技術や商品が紹介された。

私の役割は、田中みな実アナの脳波を測定して、精神状態を評価するというものだった。
TBS「アカデミーナイト」

ロケでは様々な質問が田中みな実アナに浴びせられ、その時々の精神状態を私が評価していった。しかし、オンエアではこの部分が全てカットされていた。少々無理があったようである。

番組でも紹介された田中みな実アナの閉眼安静時の脳波は以下のグラフの通りである。
田中みな実アナの脳波

2分間の測定で、後半は100引く7の計算をしてもらった。

測定を始めて23秒辺りまではアーチファクト(動いたりすることで発生する人体的ノイズ)が目立つ。よって、23秒にマーカー(青色の縦両矢印線)を挿入し、そこから最後(2分)までの脳波を有効として評価した。

グラフの見方は、弊社ウェブサイトの脳波解析PCソフト「パルラックス・プロ」のコーナーを参照されたい。

詳しい解説は控えるが、2回のα波優勢ゾーンのあることが分かると思う。緊張する場面でもこのようにα波が出せるのはたいしたものである。全ての脳波測定が終了した頃には、それまでに私が抱いていた田中みな実アナの印象が一変した・・・。聡明で素敵な女性である。


「めざましテレビ」では、「ココ調」のコーナーで“モヤモヤも解消!? 泣きたい女子の涙のツボ”と題して、泣いてスッキリする効果を脳波で検証した。

一口に“涙”と言っても、栄養補給や潤滑剤、殺菌などのために眼球表面を常時流れているものと、感情に伴って流れ出るものとでは、その成分に違いがあるそうだ。

涙は血液から作られる。血液から赤血球が取り除かれてから涙腺を通して流れ出る。視界が赤く染まっては困るからだ。

この涙の成分を分析すれば、血液の成分を推し量ることができる。

悲しい映画等を観て泣いた時、ストレス反応(逃げるか闘うかの準備と行動を起こさせる)物質であるコルチゾールが涙から検出されるそうだ。そして、涙の後半では、アセチルコリンやエンドルフィンが検出されるとのこと。

アセチルコリンは、副交感神経を刺激してリラクセーションを促進させる。天然のトランキライザー(精神安定剤)である。

エンドルフィンは、安心感を促進し、多幸感をもたらす。脳内麻薬(モルヒネ)と呼ばれることもあり、いわゆる“ランナーズハイ”をもたらすのもこの神経伝達物質だ。

“ランナーズハイ”という生理を提唱されたのは、大脳生理学者の久保田競先生である。もう15年以上前になると思うが、京都大学霊長類研究所に先生を訪ねた際、私が「ウオーカーズハイも起こりますよね?」と質問すると、「そうだねー」と肯定して下さったことがある。

ロケ当日は、いきなり撮影が始まった。

松尾アナ・・・「感動的な映画を観て涙を流したとき、ストレス解消効果があると言えますか?」

和田・・・「はい、言えます。泣くという課程は、ヨーガの瞑想や高僧の座禅とよく似てるんです。松尾アナはヨーガをされますか?」

松尾アナ・・・「はい、します。」

和田・・・「ヨーガや座禅で質の良い瞑想を15分すると、それは数時間眠ったほどのスッキリ感が得られます。質の良い瞑想と泣くことの共通点は、まず、呼気がゆっくりと深くなり脱力すること。そして、意識が一点に集中すること。ヨーガでは、アーサナーというストレッチのポーズをとって、そのストレスに意識を向けたまま・・・」

この辺まで話したところでカットが掛かった。

「長い・・・」と。

ここから私とディレクター(たぶん)とのバトルが始まった。事前の電話打ち合わせで言った言わないと・・・。

私は、涙の成分が云々という解説はしたくなかった。自身の手で分析したものではないし、理論展開に納得できない部分もあったからだ。しかし、ディレクターは、涙の成分を提示するなどして簡潔に断定させてから進めたかったようだ。

バトルは延々と続いた・・・。

そして、隣の部屋に移っていた松尾翠アナが戻ってきた。「もう(話しが)同じことの繰り返しで1時間も経っているから、とにかくやってみましょう」と。

それでもディレクターと私は収まりがつかない。その後も数分間軽く意見交換?してから撮影を再開した。

松尾翠アナが百発百中で泣けるとして用意した映像は、「鉄拳パラパラ漫画作品集 第一集」(よしもとアール・アンド・シー)であった。

まず最初に、松尾翠アナの閉眼安静時の脳波を測った。

大分お待たせして苛々もさせてしまったと思うが、脳波から算出したストレス値はさほどでもなかった。

今回私が用意したストレス値算出式は以下の通りである。

ストレス値=β波帯域最大平均電位÷α波帯域最大平均電位×50

β波帯域最大平均電位とは、β波の帯域(13.0Hz以上35.0Hz未満)(今回使用した測定器は30.0Hzまで)の中で一番賦活していた周波数の平均ボルテージという意味である。

α波帯域最大平均電位についても然りである。

帯域全周波数のボルテージを足して算出するという方法もあるが、今回は賦活周波数ということに意味を持たせたかった。

また、ストレス値が20程度でストレス傾向が現れ、100を超えるとストレス過多で厳しい状況。そういうスケールになるように係数50を設けた。
フジテレビ「めざましテレビ」の「ココ調」コーナー

映像を見ているときには、眼球運動に伴うアーチファクトが混入するために正確な脳波を測りづらい。そのことは了解の上で、鑑賞中の脳波も計測した。

私は隣の部屋で、松尾アナの表情が映し出されるモニターと脳波測定画面を観察した。

なんと、ちょうど1分で松尾アナの左目から涙がこぼれた。恐るべき集中力だ。すかさずマーカーを入れた。(グラフ中の黒の縦線)
松尾翠アナの脳波。9.0Hzのスペクトル
この折れ線グラフは、9.0Hzの電圧推移だ。後で解析してみると、この9.0Hzだけがグングンと賦活していた。松尾アナが映像に集中したとき、大脳の前頭前野は9.0Hzで律動を増していたのだ。(脳波の周波数の特徴は、弊社ウェブサイトの「脳波の種類」コーナーで解説している)

松尾アナが鉄拳の映像を観る前と後の、それぞれ2分間の平均脳波がこれである。
松尾翠アナの脳波

バックのグレーが映像を観る前の脳波で、カラーが観た後の脳波である。デルタ波からシータ波の帯域はアーチファクトを多分に含んでいるので、ここでは無視する。

一目瞭然、β波は全周波数とも電圧が下がり、α波は電圧が下がっているものの優勢周波数が左にずれていることが分かる。

まず、映像を観る前のストレス値を計算してみよう。

β波帯域最大平均電位は、18.0Hzの1.9μV。
α波帯域最大平均電位は、9.0Hzの7.8μV。
よって、算出式(ストレス値=β波帯域最大平均電位÷α波帯域最大平均電位×50)により、ストレス値は12.18である。

映像を観た後のストレス値は次の通りである。

β波帯域最大平均電位は、18.0Hzの1.8μV。
α波帯域最大平均電位は、8.0Hzの7.4μV。
ストレス値は、12.16となる。

鉄拳の映像を観て泣いたことによって、ストレス値が0.02ポイント下がった。

この変化は誤差の範囲のように感じると思うが、私は、泣いてスッキリすることは断言できるとオンエアでも述べた。

それは、このストレス値もさることながら、α波帯域の優勢脳波がミッドα波からスローα波に変化していたからだ。これはもう、“スッキリ感”というよりも“安らぎ感”と言った方が良いくらいだ。

自律神経も、副交感神経がより優位になっていると思われる。

このような変化が免疫機能のアップ(ナチュラルキラー細胞の活性化)に繋がることが、財団法人島根難病研究所の亀井務教授(医学博士。精神神経内分泌免疫学、環境生理学、統合医療、補完代替医療、漢方医学、人間工学が専門)らの研究でも明らかになっている。

僅か数分の映画鑑賞でこのような脳波遷移を観察できるとは思っていなかった。こんな効果があるならば、スローα波とミッドα波でストレス値に差が出るように計算式を用意するべきだったと反省した。

番組スタッフも自身が泣ける映像を用意していた。涙はこぼれなかったが、その時の脳波がこれである。
番組スタッフの脳波

松尾アナと同じように、β波のボルテージは下がり、α波の優勢周波数はミッドα波からスローα波に変わった。

ストレス値も、22.09から21.59へと0.50ポイント下がった

カメラの前ではなかなか泣けなくて当然だと思う。このスタッフの場合は、映像を観た後に感想を割と長めに述べたこともストレス値を下げた一因になったように感じた。まさに、語るシス(カタルシス)効果である。

貴重な脳波データが得られてワクワクしている私に、移動支度を済ませた松尾翠アナが「私の脳波、どこででも使って下さい」と、満面の笑みで声を掛けてくれた。

私は、「お忙しいのに長い時間待たせてしまって申し訳ありませんでした」と詫びながら見送った。

聡明で、癒し力さえもたたえた女子アナ二人の脳波に出会えた2月だった。


セルシネ・エイム研究所 和田知浩

vol.233 『“速話聴取法”節目の年にダウンロード版を発売。』 2013.1.13


今年は、“速話聴取法”という能力開発技法にとって節目の年である。

SSI社から4倍速の「速聴機」(「速聴」及び「速聴機」は、SSI社の登録商標)が発売されたのが、今からちょうど20年前の1993年である。それまでは、1倍速から4倍速までの音声が録音されたカセットテープを用いるか、2倍速まで高速再生できるカセットプレーヤーを用いるかの方法しかなかった。

私は2000年にSSI社を退職し、2001年にセルシネ・エイム研究所を開設した。そして、今から10年前の2003年に、「速話聴取マニュアル」を発売した。

私の略歴をセルシネ・エイム研究所のサイトに掲載している。

SSI社で「速聴機」の開発をコーディネートしたときには、その無骨な外観から“弁当箱”と揶揄されながらも、トレーニング効果は大きな反響を呼び、テレビやラジオ、雑誌からも取材を受けた。

テレビでオンエアされた例

ラジオでオンエアされた例

雑誌に掲載された例

「速聴機」ユーザーから送られてくる質問の手紙や電話に答えつつ、全国でユーザーサポートセミナーを開催しながら、私自身も“速話聴取法”のより具体的で効果的な理論を築いていく時期だったと思う。

SSI社からは、「速聴機」開発のコーディネートという職務に対し、「功労賞」を頂いた。

2001年にはセルシネ・エイム研究所を開設したものの仕事は殆ど無かった。生活費を稼ぐために、2002年には夜勤警備の仕事で道路工事現場や深夜営業店舗の駐車場など、都内の彼方此方をチャリンコで飛び回った。

この1年足らずの警備員のアルバイトが良かった。

どういう風に良かったのかは割愛するが、とにかく、「速話聴取マニュアル」の大半はこの時期に書き上げたものである。

ありがたいことに、この「速話聴取マニュアル」は様々な話速変換システム(能力開発機器)のユーザーにご活用頂いており、このご縁が私の大切な財産となっている。

今年(2013)は、「速聴機」がSSI社から発売されて20年、「速話聴取マニュアル」をセルシネ・エイム研究所から発売して10年という年である。、今年は“速話聴取法”にとって10年単位の節目である。どんなトピックが展開されるのか楽しみだ。

何が起こるのかはまだ分からないが、先日(1月7日)一つの布石を打った。
「速話聴取マニュアル」ダウンロード版
「速話聴取マニュアル」ダウンロード版の発売である。


音声ソフトのファイル形式はMP3、テキスト&ワーキングシートはPDFファイルだ。よって、速話聴取専用機や音声補正PCソフトなどは必要ない。

代金のお支払いは、口座振込かクレジットカード決済から選択できる。

収録メディアと送料が掛からない分、一段とリーズナブルな金額を設定することができた。また、「速話聴取マニュアル」オールインワンの他、セッション単位での注文にも対応することにした。

音声ソフトは全セッション共、1倍速から10倍速まで1倍速刻みでセットしている。超高速域では音声補正技術の限界を超えているため、再生音声は潰れてしまっている。それでも10倍速まで揃えた。

理由は、「“能力開発効果”がある」からである。

提供する側が、能力開発の“限界”を低く(常識の範囲内に)するようなことがあってはならない。

ちなみに、「デジヴォ」でも「速聴機」でも最高再生速度が4倍速なのは、当時の音声補正技術の限界点だったからだ。その名残である。決して人間の聴き取り限界速度などではない。

超高速再生では音声が潰れてしまっているから、初めての音声を聴き取ることはできないだろう。超高速域のトレーニングでは、まず“黙読追唱法”に利用して欲しい。すなわち、再生音声と同じ内容のテキストをブロック読みするのだ。ブロック読みとは、複数の文字をまとめて、あるいは複数の行をまとめて写真のように取り込む方法だ。

これを実践すると、速話聴取の“ビットギャップ効果”を改めて実感するはずだ。

その他の速話聴取法については、「速話聴取マニュアル」を参考にして進めて欲しい。

速話聴取法というのは、驚くほどの成果をユーザーが体現してくれることがある。速話聴取法の黎明期にあった実際のエピソードを一つ紹介しよう。

SSI社から4倍速速聴機を発売した頃に、学習塾の先生からご報告頂いたものだ。

当時の速聴機は、前述の通りカセットテープ式だった。最近はデジタル化されているからイメージし難い人がいるかもしれないが、カセットテープを早回しで再生すると、高音のキュルキュル音となる。

その音を、音声補正技術によって通常のピッチ(音の高さ)に調整する。すなわち、再生速度を上げてもピッチは元のままというわけだ。

この技術の素晴らしさをユーザーに実感してもらうために、「速聴機」には補正スイッチを設けていた。スイッチをONにすれば音声補正機能が働き、OFFにすればキュルキュル音のまま再生されるという具合だ。

学習塾の先生から頂いたご報告というのは、「速話聴取に取り組んでいる子供が、キュルキュル音のままで4倍速まで簡単に聴き取れるようになりました。」というものだった。

補正(加工)された音よりも、キュルキュル音であっても元の情報を全て含んでいる音の方が聴き取りやすいというわけだ。

これには驚いた。4倍速時のキュルキュル音なんてとても聴き取れそうにないピッチなのに・・・

能力開発技法を提供する側が“常識”に囚われてはならないと実感した初めての出来事だった。

現在は、トータルセッションで速話聴取法を様々な形で提供し、クライアントは大きな成果を上げている。

今回の最大10倍速の音声は、“速話聴取法”指導の現場で提供しているコンテンツの一つを商品化したものである。

「速話聴取マニュアル」の紹介ウェブページを作りながら、私自身がワクワクしていた。きっと沢山のユーザーに喜んでもらえると思う。

オプションとして、「オリジナルコンテンツ制作サービス」も用意している。


あなたオリジナルの音声ソフトを高速化したくなったらご利用頂きたい。また、あなたが主催するセミナーなどに出向いて収録し、コンテンツを制作することも可能である。復習と脳の活性化法として参加者に提供すると大変喜ばれる。

ただし、音声ソフトの内容を次々と新しいものにしなければ能力開発にならないということはない。それよりも、「速話聴取マニュアル」の文章を覚えるぐらいに繰り返し繰り返し聴取しながら、ワーキングシートも実践してみて欲しい。まずはそこからだ。その効果にあなた自身が驚きワクワクすることだろう。


セルシネ・エイム研究所 和田知浩



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