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「セルシネのブログ『人生成功 四方山辻説法。』

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弊社代表和田知浩が、折に触れて気ままに「人生成功」に関するメッセージを投稿しています。


2015年のバックナンバー

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vol.268 『パルラックス・ライトとExcelを用いた脳波解析例。アロマップ(R)を検証。』 2015.8.3


先月19日、(一社)日本メンタルアロマ協会(代表理事 小池明子氏)からのご用命で、脳波測定を行った。小池明子先生が開発されたメンタルアロマ療法「アロマップ(R)」の効果を検証することが目的だ。

この結果は、弊社ウェブサイト「アロマップ(R)脳波研究」紹介ページに掲載した。

「アロマップ(R)」とは、香りに対する反応や感情を手掛かりに無意識を探究し、問題解決や自己実現のヒントに気づいていくメソッドである。

使用した脳波解析システムは、脳波測定器BrainPro-light「FM-828」脳波解析PCソフト「パルラックス・ライト」である。

実験方法は次のように実施した。

被験者5名の脳波を「基準」「雑談+ラベンダー後」「アロマップ(R)前」「アロマップ(R)後」の順で 4回、計 20 回測定した。「雑談+ラベンダー後」は、ファシリテーターと被験者全員で約10分間、ラベンダーの香りが漂う部屋で雑談をしてもらった。「アロマップ(R)」カウンセリングは約50分間実施した。また、脳波測定の際には、ある方法で被験者に意識統一してもらいながら2分間測定した。

その中から一人の被験者をピックアップして、脳波解析の経過を紹介したいと思う。

最初に測定した脳波を「基準」とした。各脳波(定常波)の特徴は、NOWHADASの「脳波の種類」に掲載している。
脳波測定結果(基準)

上段のグラフ欄は、左側が平均値(平均電位)で、右側が優勢率である。脳波測定器「FM-828」は、1秒毎に測定電位を出力する。その測定値で、最も強く出た回数が測定時間当たり何回あったかの割合をそれぞれの定常脳波(β波、α3波、α2波、α1波、θ波)毎に算出したのが優勢率である。

下段の表には、「平均値」と「優勢率」の他に、「分布率」と「標準偏差」も表示される。

「分布率」は、各定常波それぞれの積算電位を比較し、その強さの割合を示す。

「標準偏差」は、電位の大小の散らばり具合を各定常脳波毎に示している。即ち、標準偏差が大きい定常脳波ほど活性化していると言える。但し、電位が高い状態で安定する場合も希にあるので、その点は注意が必要だ。

「雑談+ラベンダー後」の脳波を次に示す。
脳波測定結果(雑談+ラベンダー後)

「アロマップ(R)前」は
脳波測定結果(アロマップ(R)前)

「アロマップ(R)後」は
脳波測定結果(アロマップ(R)後)

以上の通りである。

パルラックス・ライトには「比較再生」機能があるので、「基準」と「雑談+ラベンダー後」を比較してみよう。
脳波測定結果(比較)

グラフ手前のカラーが「雑談+ラベンダー後」で、重なったバックの白色グラフが「基準」である。表の数値は「雑談+ラベンダー後」で、括弧内の数値は「基準」と比べてどのくらい増えたか或いは減ったかを表している。

グラフの優勢率に着目すると、β波が減って、α1波(スローα波)が増えていることが分かる。

パルラックス・ライトでは2つの脳波データしか比較できないので、ここから先はデータをExcelに読み込んで分析する。

測定結果をExcelに入力

小さくて恐縮だが、左のグレーが「基準」、緑が「雑談+ラベンダー後」、オレンジが「アロマップ(R)前」、赤が「アロマップ(R)後」である。

このデータをグラフにすると次のようになる。
Excelによる測定データのグラフ化。

これがありのままの測定結果だ。ステップ毎の定常脳波バランスの変化がよく分かる。

左から2番目の「分布率」を分析するのが一般的だが、その他の指標も有用である。

更に一目で分かりやすいように、聡明度算出式によってグラフ化したのが次の通りである。
Excelによる聡明度グラフ作成

同じく左から「電位(平均値)」「分布率」「標準偏差」「優勢率」で、各棒グラフの色分けも前述の通りである。聡明さの賦活化がよく分かる。

以上が「アロマップ(R)」を受けたときの脳波の変化である。

被験者5名全員の結果及び簡単な考察は、「アロマップ(R)脳波研究」紹介ページに掲載している。


あなたの「課題の解決に“脳波”が使えそうな気がするんだけど・・・」という直感に、セルシネの「脳波測定サービス」で貢献したい。

先月、プレミアム「脳波測定サービス」オールインワンも発売し、単なる「脳波測定サービス」ではない、セルシネならではのトータルサポートを実現している。沖縄から北海度まで、日本全国へ喜んではせ参じる。是非!


セルシネ・エイム研究所 和田知浩

vol.267 『脳波測定によるリアルタイム入眠判定の難しさ、そしてできること。』 2015.7.16


昨日もテレビのバレエティ番組から「“脳波”で入眠判定して欲しい」との相談があった。入眠導入サプリメントや寝具メーカーからも同様の依頼がよくある。しかし、リアルタイムにココ(で入眠した)とはなかなか判定しにくいのだ。

その理由を改めて本稿で述べたいと思う。

終夜睡眠脳波については、弊社ウェブサイト「終夜睡眠脳波の分布グラフ例」で解説している。

ここに掲載している脳波の分布グラフを案内しながら、番組制作スタッフに入眠判定のアドバイスをした。

アドバイスをしていて、もっと“入眠時”(入眠期)に特化した脳波測定例が欲しいと思った。

そこで、過去に私自身の睡眠脳波を測ったデータから、入眠について分かりやすいものを選んで、同ページに「入眠時(入眠期)の脳波」コーナーを新設して、その脳波分布グラフを掲載した。

本稿にもその分布グラフを掲載しよう。

和田知浩の入眠時(入眠期)脳波の分布グラフ

この脳波は、高性能簡易脳波測定器「BrainProFM-929」を用いて、脳波解析PCソフト「パルラックス・プロ」でデータ化したものである。但しそのままでは入眠判定がしづらいので、分布グラフを表示できる「パルラックスF」用ファイルに変換している。

「パルラックス・プロ」のデータを「パルラックスF」用に変換する裏技は、「脳波解析PCソフト『パルラックス・プロ』の測定データを、『パルラックスF』で開く方法」で紹介している。

なお、「パルラックスF」は縦軸(時間)を3分の幅でしか表示できないので、画像編集ソフトで繋いでいる。

測定スタートから約1分までは体動によるノイズが大きいので、表示をキャンセルした。

キャンセル前のノイズが混入した分布グラフは、こちらに掲載している。但し、アーチファクト機能もオフにしているので、上のグラフとは若干の違いが生じている。

このままでは画像が大きいので、俯瞰してご覧頂きやすいように縮小画像も掲載した。

分布グラフから分かるとおり、9分20秒辺りからα波が途切れ始め、まどろみ状態であることが分かる。そして、15分40秒辺りでα波は沈静化し、逆にδ波が継続的に強く出現し始めている。即ち入眠である。

入眠時刻を判定して欲しいとのご依頼をよく頂くが、本例のまどろみ時間のような約6分20秒をどのように判定するのかが一つの課題なのである。当然、このまどろみ時間は同じ被験者でも毎回違うし、まどろみ時間がほぼゼロの場合もある。

更には、α波優勢の時間もほぼゼロで、即刻入眠する被験者もいる。

測定結果を後でこの分布グラフのように俯瞰的に観れば、入眠時刻を判定することは比較的容易である。しかし、リアルタイムに「今入眠した」と判定する場合には、まどろみ時間で再びα波優勢になる場合もあるので難しい訳だ。

以上のことをご了承頂いた上でなら、入眠判定は可能である。


セルシネ・エイム研究所 和田知浩

vol.266 『更なる高みへ・・・「プレミアム『脳波測定サービス』オールインワン」、始動。』 2015.7.11


大学や企業、マスコミなどからご好評を頂いている脳波測定サービスに、先週「プレミアム『脳波測定サービス』オールインワン」を追加した。

通常の「脳波測定サービス」では、セルシネは脳波測定のオペレーターに徹する。オプションをご用命頂く際にも基本的には同じで、プロジェクトに関わる範囲は限定的である。それが、この種のサービスを提供する者の一つのあり方だと思うからだ。別の言い方をするならば、「分をわきまえて口出ししない」ということだ。

しかし、プレミアム「脳波測定サービス」オールインワンでは、ご依頼者のニーズを積極的に聞き出し、その目的を達成するための準備と本番、そしてフォローアップ(一ヶ月間)を積極的に行う。即ち、プロジェクト全体にセルシネがコミットし、見守り、アドバイスするということだ。

イメージ的には、セルシネが主体的にコーディネートするパーソナルサポートやセミナー、コンサルテーションである。(「トータルセッション」を参照されたし)

脳波測定の現場に赴いて淡々と作業を進めていると、“拍子抜け”したような雰囲気をご依頼者から感じることがある。どうやら、私がセミナーでレクチャーする様子などをネット上で事前にご覧になっており、それとのギャップが原因のようである。

「ならば、その期待に応えよう!」 その思いを形にしたのがこの「プレミアム『脳波測定サービス』オールインワン」である。
ヨーガインストラクターの皆さんとの脳波研究シーン

パーソナルサポートのようにコーチングし、セミナーのようにレクチャーし、コンサルテーションのようにアドバイスして、プロジェクトの目的達成をサポートする。

準備段階では、ご依頼者が的確な測定プランを構築されるために、脳波に関する知識をレクチャーする。また、被験者の募集や同意書の作成もサポートする。但し、被験者の募集に関わる費用が発生する場合は、別途ご依頼者の負担となる。

本番(脳波測定当日)では、単なるオペレーターではなく、測定運営全体をご依頼者と共にマネジメントする。

フォローアップでは、本番で得られた脳波データを、目的に即した効果的な表現手法で納品する。本番からの一ヶ月間で、ご依頼者との意見交換を繰り返しながら仕上げていく。


「大学や企業に対する研究サポート」や「バイオフィードバック訓練の指導」、「テレビ番組制作の協力」など、セルシネの脳波測定サービスは、長年培ってきた測定ノウハウと実績がある。それが、「測定結果はセルシネ品質」と自負し、また、お客様から高い評価を頂いている所以である。

脳波測定を実施する一日を無駄にしない。

脳波測定を実施する一日の成果を最大限に引き出す。

バイオフィードバック訓練からヒト試験まで、通常の「脳波測定サービス」と同様に全ての目的にお応えする。但し、医療行為は行わない。

お客様の「課題の解決に“脳波”が使えそうな気がするんだけど・・・」という直感をセルシネが実現する。そのサービスが「プレミアム『脳波測定サービス』オールインワン」である。

一回目の面談までは仮申込み扱いなので、その直後にキャンセルされればキャンセル料も発生しない。

是非!


セルシネ・エイム研究所 和田知浩

vol.265 『新型“脳波センサー”を使いこなす2つの方法。』 2015.6.21


脳波測定器FMシリーズ用「脳波センサー」がリニューアルして今春発売された。

この脳波センサーが使用できる脳波測定器は以下の通りである。

■アルファータ「FM-515A」「FM-717」
■ブレインプロ・ライト「FM-828」
■ブレインプロ「FM-919」「FM-929」

旧モデルは、固めの素材で開閉範囲が小さいために締め付けがきつくて、装着してしばらくすると頭が痛くなっていた。また、少し開きすぎると折れてしまうこともあった。

新しい本モデルはそういうことがなくてとても良い。
脳波測定器FMシリーズ専用脳波センサー

ただ、トータルセッション脳波測定サービスで、色んな被験者を色んな環境で測定していると改良したい点も出てきた。

それらを一つひとつプチソリューションしてきたことが、セルシネの大きな財産となっている。

この度、その中の一つを商品に付加して、プレミアム脳波センサーとしてお客様に提供することにした。プレミアムだが価格はメーカー純正のノーマルモデルと同じままだ。

実は、ニューモデルの脳波センサーは、着け心地が軽く且つ緩く快適になった分、センサーと肌との密着が弱くなったようで、脳波測定器のセンサーランプが緑になりにくいことが割とある。そのため、測定開始に手間取るケースが増えた。

一人で測定している分には少々測定開始できなくても気楽なもんだが、研究会やイベントで多くの被験者を心太式に測定する場合やテレビ番組の撮影などでは致命的だ。

これを解決するために、センサーの後ろにフックを取り付けて、それに引っ掛けたストラップで手軽に密着度を調整できるようにした。このプチソリューションで、脳波測定現場の作業効率を格段に改善できた。
プレミアム脳波センサー

一人で測定する場合は気楽だといっても、なかなか測定が開始できず原因も分からないとイライラしてくる向きもあるだろう。

脳波測定器をご購入頂く際の付属分も、別途脳波センサーのみを注文頂く際にもこのプレミアムアイテムをセットしてお届けする。ただし、メーカー純正のシンプルなまま使いたいという人もいるだろうから、フックはセンサーに接着せずにお届けする。

実際に使ってみて、「センサーのフィット感が弱い」或いは「SENSORランプがなかなか緑にならず測定か開始できない」などを感じたら、このアイテムを試してみて頂きたい。

ニューモデルになって改善されたことをもう一つ紹介したい。

それは、脳波センサーに右左の区別が全く無くなったことだ。

小さな変更だが、実は大きな意味を持っている。

これまでのモデルは、クリップを左の耳朶に付けることを想定していた。そして、脳波はおでこの右側のセンサーで測っている。即ちFp2だ。左側のセンサーは測定を安定化させる役割を持つが、脳波を測っているわけではない。

左右を逆さに装着することも可能なのだが、そうすると耳朶へのケーブルが上向きに出てしまって違和感があった。だから自然とFp2の測定に習慣化されているユーザーが多かった。
脳波測定器FMシリーズ専用旧脳波センサー

ところが、ニューモデルは耳朶へのケーブルがカチューシャ型バーの上下中央から伸びている。よって、クリップセンサーを右の耳朶に着けようが左の耳朶に着けようが全く違和感がない。

これはとても重要なのだ。

さて、Fp1でもFp2でも違和感なく測れるなら、あなたはどちらを測るだろうか?

測る部位によって脳波は違う。遠く離れた部位なら大きく違うが、同じひたいでも右と左ではやはり違うのだ。もちろん同調度が高い場合もあるが・・・

脳波のバイオフィードバック(ニューロフィードバック)訓練をするならFp1(左のひたい)がお薦めだ。訓練者自身の精神状態は、Fp2よりもFp1により顕著な反映があるからだ。脳波と精神状態の関係は、脳波関連ポータルサイトの「脳波の豆知識」コーナーに掲載している。
脳波国際学会10-20法のFp1

能力開発というと右脳をイメージして、この答えを意外に思う人も多いだろう。

脳波バイオフィードバック法とは、感覚では掴みづらい脳波を具体的な数値やグラフ、音などに変換して、そのフィードバック情報を手掛かりに脳波をコントロールし、延いては精神統御の能力開発を目指すものだ。

故に、手掛かりとなる情報が不適切だと、いくら訓練をしてもその能力は開発できない。感覚とフィードバック情報の相関が悪ければ、試行錯誤の末挫折してしまう。

よって、私がトータルセッションでバイオフィードバック法を指導する場合は、最初にクライアントのFp1とFp2を測定し、適切な方を探る。

お薦めはFp1と言ったが、Fp2の方にクライアントの精神状態が顕著に反映される場合もあるからだ。利き腕があるように、脳にも利き脳があるのだ。

このように、自身の利き脳を知った上で脳波バイオフィードバック訓練を実践することが重要なのである。然もなくば、折角の訓練も実を結ぶ可能性は極端に低くなる。

また、Fp1が適切と判断した場合でも、時折Fp2に有意義な反応が出る場合もある。例えば、Fp1に目立った変化が無いのに、ある瞬間にFp2のミッドα波が強く出るということもあるのだ。よって私は2セットの脳波測定器を使って同時にFp1とFp2を測定することもある。

セルフトレーニングをする際には以上のことを念頭に行うと良い。

セルシネでは、自己統御法のエッセンスにバイオフィードバック法を加えたトレーニングを「サポーティング・バイオフィードバック法」と呼んでいる。トータルセッションで提供するこの「サポーティング・バイオフィードバック法」が、ビジネスマンやスポーツマン、カウンセラー、ヨーガ行者、瞑想訓練者、メンタル/イメージトレーニング者などに好評を頂いている。

しつこいようだが想像してみて欲しい。精神状態の微かな変化を正確に反映してくれる場合と、そうでない場合の訓練を。バイオフィードバック訓練で挫折するケースの主な原因の一つが、「不正確/不適切なフィードバック情報」なのである。

なお、Fp以外の部位は、セルシネ特製の万能脳波センサー「エンフレック」で測定できる。セルシネから脳波測定器をご購入下さる場合にお付けしているプレミアムだ。こちらも価格はノーマル(メーカーセット版)の脳波測定器と同じままにしている。是非!


セルシネ・エイム研究所 和田知浩

vol.264 『セルシネのテレビ番組協力史上最大のピンチが発生。NHKBSプレミアム「仮説コレクターZ」からのオファーで、仮説「女性は夫や彼氏がイライラすると幸せを感じる」を脳波測定で検証して。』 2015.6.15


絶体絶命だった。

脳波測定サービスをテレビ番組に提供し始めてかれこれ10年になるが、あんな絶体絶命の大ピンチに陥ったのは初めてだ。

それは、ロケ現場で脳波測定器をセッティングしているときに起こった。今思い出してもぞっとする。

NHKBSプレミアムの番組「仮説コレクターZ」が検証する今回の仮説は、「女性は夫や彼氏がイライラすると幸せを感じる」である。仮説提唱者はハーバード大学のコーエン博士らだ。
NHKBSプレミアム「仮説コレクターZ」〜女性は夫や彼氏がイライラすると幸せを感じる〜01

番組制作会社のディレクターとADがセルシネに来訪されたのが5月14日だ。

検証実験で男性をイライラさせる方法や脳波測定の方法などを打ち合わせた。

男性をイライラさせるために「細かな作業」をしてもらう予定とのこと。ここで一つアドバイスした。実は、「細かな作業」をすると頭はスッキリしてα波が良く出る場合があるのだ。即ち、“弛緩一点集中”である。

例えば、絵本「ウォーリーをさがせ!」に取り組んだときのような頭スッキリ効果だ。

よって、確実にイライラしてもらうためには、それなりのプレッシャーや突っ込みを入れることが必要なのである。

さて、そのイライラしている様子を見ている妻や彼女は、仮説通りに幸せを感じるのだろうか?

目を開いた状態の脳波を測るので、本来ならば万能脳波センサー「エンフレック」を用いて髪の毛のある部分を測定したいところだが、手軽さを優先してカチューシャタイプでおでこから脳波を測定することとなった。

但しこれではノイズが大きいので、観察直後の余韻が残っている内に閉眼安静の脳波も測ることにした。

使用する脳波測定器は、測定グラフが視聴者に分かりやすいという理由でBrainPro-light「FM-828」に決まった。

ロケは5月17日、表参道から歩いて1分ほど入った所にあるスタジオで行われた。入り時間は8時30分、近くで時間調整して5分前に入った。

既にクルー達は着々と準備を進めていた。皆さんに挨拶をして、私も準備に取りかかった。脳波測定器の電源はバッテリー2個とACアダプターを持参していた。

撮影に適した場所に脳波測定器とPCを設置し、ケーブルを繋いで電源を入れた。

準備完了である。

試しに予備のバッテリーを脳波測定器に繋いで電源を入れた。すると脳波測定器の液晶画面がおかしい。真っ黒になっている。あれっ?

ここですぐにバッテリーを元のに戻せば、事なきを得たかもしれない。

ところが、魔が差した。

このまま接続しておけば安定するかもしてない、と。

そのままにして、番組スタッフと撮影手順を改めて打ち合わせた。10分程して脳波測定器に目をやった。すると液晶画面が消えている・・・。バッテリーが故障したんだなと思い、最初のバッテリーに交換し電源を入れた。

しかし電源が入らない。ACアダプターに差し替えても入らない。

電源スイッチをカチカチやった。・・・駄目だ。

血の気が引いた。

ノイズの影響で脳波測定環境が整わない場合はたまにある。そんな時は、電磁的ノイズを突き止めて対処する。何とかなるものだ。しかし、脳波測定器がうんともすんとも言わないのにはお手上げだった。万事休す・・・。

10名ほどの撮影クルーが準備を進めている。まだ見ていないが、仕掛け人(出演占い師)や被験者のカップルも5組来ている。私の失敗でこのロケを台無しにしてしまうのか。

消えてしまいたい感情に一瞬襲われた。が、そうはいかない。ここからでも何とか挽回して遣り終えなければ。

ロケスケジュールは、まずMCの登場シーンと被験者インタビュー、諸々のインサートを撮影。そして、10時から検証実験がスタート、あと1時間と10分だ。

練馬の自宅(セルシネ)に戻って別の脳波測定器を持ってくるとしたら往復で2時間半はかかる。とても間に合わない。タクシーを利用すれば短縮できるかもしれないが正確な時間が読めない。

近くのクルーに改めて検証実験の開始時刻を確認した。

「10時だけどちょっと押してる・・・」

ディレクターに事情を説明し、お詫びと代替器を取ってきたい旨を伝えた。当然お詫びだけでは済まないことも覚悟した。今回の脳波測定サービス料金は頂けないかもしれない。更には損害賠償を払わなければならないかもしれない。そんなことも頭をかすめていた。

ディレクターはすぐにロケバスの運転手を呼び、私を乗せて練馬へ行くように指示して下さった。

ロケバスに乗り込み、運転手さんに「環七から向かって下さい」とお願いした。「ナビに入力するんで住所を教えて・・・」と運転手さん。

自宅に着いてから代替器を用意するシミュレーションを、ロケバスの中で何度も何度も繰り返した。こんな手間を掛けさせた上に、もしも忘れ物をしてしまったら救いようもない大馬鹿者だ。

自宅にも電話した。万が一にも入られないということが起きないように。

40分程で自宅に着いた。運転手さんに「10分程かかるかもしれません」と告げて、ロケバスを飛び降りた。

自宅に入って、まずトイレで用を足した。落ち着いて・・・。

今回使用するはずだった脳波測定器「FM-828」の予備がないので、同じパソコン画面を表示できる「FM-717」を一式、念には念を入れて「FM-515A」も一式バックに詰め込んた。

現場に戻るロケバスからADに電話を入れた。「今折り返しています・・・」

到着したのは10時半頃だったか。

撮影中も幾つかスムーズに行かないところがあったが、皆さんに協力して頂きながら何とか無事に終えることができた。終了間際に「FM-717」の状態もおかしくなったが、原因を探ることなくすぐに「FM-515A」に差し替えて事なきを得た。

翌日には、脳波測定PC画面を動画化(mp4ファイルに)して提出した。その上で、今回の脳波解析に関する意見交換をディレクターと電話した。

その後、MCの劇団ひとりさんと中村アンさん、タレントの杉本彩さん、精神科医高木希奈さんによるスタジオ収録が行われ、今月11日にオンエアとなった。

ご主人若しくは彼氏が喜んだりイライラしている様子を別室から観察する女性。その脳波を測定した。
NHKBSプレミアム「仮説コレクターZ」〜女性は夫や彼氏がイライラすると幸せを感じる〜02

5組の実験による結果はオンエアの通りである。

今回はβ波とα波を単純に比較するだけで、特別な指標の構築はしていない。くれぐれも今回の実験結果を以てカップルの関係がぎくしゃくすることがないよお願いしたい。暗示効果は怖いのだ。

番組コーナーの最後にも「仮説の使い方にはくれぐれもご注意下さい」とのナレーションが入った。

なお、番組制作会社のディレクターとADは、本番組のエンディングロールでは別の役職が付されていたこと、誤解が生じないよう念のためお断りしておく。

絶体絶命のピンチから、皆さんの支援で起死回生することができて本当に良かった。感謝。

脳波測定器「FM-828」の電源が入らない件は、メーカーに点検修理してもらった。ヒューズが切れていたので交換したとのこと。念のためバッテリーも点検してもらったが異常はないとのこと。

メーカーにも伝えたが私には心当たりがある。ロケの前日にバッテリーを充電した際、1個のバッテリーは充電が完了してからも数時間放置してしまっていたのだ。これが過充電を生み、「FM-828」のヒューズに高負荷を掛けたのではないか?

もちろん充電器にはオートストップ機能があるはずだが、私の懸念は払拭できていない。弊社ウェブサイトの脳波測定器用バッテリー紹介コーナーの「辛口コメント」欄に、この懸念を掲載した。

メーカーには原因の根本的な究明と改善を求めたい。

それはそれとして、セルシネの脳波測定サービスとしても、効率的/効果的なフェイルセーフをどのように構築するのかが課題である。


セルシネ・エイム研究所 和田知浩


vol.263 『映画「ビリギャル」に学ぶ、受験生のやる気を引き出す魔法の言葉。フジテレビ「めざましテレビ」からのオファーで受験生の脳波を測定した報告。』 2015.6.8


5月は、フジテレビの朝の情報番組から弊社の脳波測定サービスを3回ご利用頂いた。

1回目は、前々号で紹介した「印刷教材とスマホ教材の学習効果に違いはあるのか? フジテレビ「とくダネ!」からのオファーで検証した脳波測定実験。」

2回目は、前号で紹介した「寝言と会話したら魂が抜ける? フジテレビ「とくダネ!」からの終夜睡眠脳波測定のオファーで考えたこと。そして、閃いた2つのキーワード。」

そして、3回目が本稿で紹介する「ビリギャルに学ぶ魔法の言葉」である。

5月1日に全国東宝系で公開された映画「ビリギャル」が、受験生を励ます魔法の言葉で大ヒットしている。この効果を脳波測定で検証するというものだ。

例えば、昨年世界的に大ヒットした「アナと雪の女王」の劇中歌「Let It Go〜ありのままで〜」は、そのアファーメーション効果で、聞く人のファストα波を引き出す効果がある。

昨年投稿した「“アナと雪の女王”の主題歌「Let It Go〜ありのままで〜」を聴いたときの“肯定的高揚度”を脳波測定で算出。TBS「あさチャン」からのオファーにて。」の通りである。

或いは、催眠誘導で深いリラクセーションに誘導すると、クライアントの脳波はスローα波で満たされる。

的を射た言葉は、それを聞いた人の定常脳波(常在脳波)を変化させる力を持つ。

さて、ビリギャルの言葉は、本当に魔法の言葉と言えるのか? 映画「ビリギャル」の原作者で坪田塾を経営する坪田信貴氏を名古屋に訪ねた。

先乗りしていた番組スタッフ、そして生田アナと名古屋駅のカフェで打ち合わせをし、その後、カメラマン、音声さんと合流し坪田塾へと向かった。

オンエアからのピックアップ画像を弊社ウェブページ「脳波測定・・・テレビ番組協力実績」に掲載している。

坪田氏からのリクエストで、座興として氏の脳波を測定した。素晴らしい脳波だった。最初はノイズを疑うほどだったが、武道家でもあると聞いてその優勢脳波(周波数)に合点した。カメラの回っていないときの脳波測定なので、詳細の報告は控えたい。

脳波測定にご協力頂く受験生は当初10名の予定だったが、ロケ時間が足りないとの理由で5名に減らされた。いずれも坪田氏とは初対面だ。

5名の内、被験者として採用できたのは4名だった。もう一人はどうしても測定環境が整わず断念した。いい脳波が垣間見られていただけに残念だった。服装の材質やその他諸々の条件で、正確な脳波を導出することが困難な場合があるのだ。

本来ならノイズの原因を突き止めて改善するべきなのだが、ロケ現場の限られた時間で心太式に測定する場合にはそれが許されない。せっかくお越し頂いたのに申し訳ない・・・。

5名の脳波を測定して驚いたことはα波の強さだ。受験生は毎日勉学に励んでいるからその集中力が素晴らしい。

受験生時代に、「ページの文章が一目で入るようになった」などの能力開発を実現する人は多い。受験生は、知識を学んでいるのと同時に様々な能力開発を起こしているのだ。これこそが、その後の人生の財産となる。

坪田氏からのアドバイス(魔法の言葉)を授かった後の脳波と比較するために、基準脳波として事前に脳波を測ったのだが、この時点で凄いα波が観察された。

ハードルが高くなったが大丈夫か? テレビクルーやKADOKAWAのスタッフも心配していた。

受験生一人ひとりに坪田氏の魔法の言葉が投げかけられた。

結果はオンエアの通りである。

番組では、視聴者に分かりやすいという理由で脳波の優勢率に着目したが・・・

強いα波がさらに強くなった。3名はα波の中でもミッドα波が強くなった。そして、最も強いα波を事前測定で出していた東大志望の受験生は、優勢脳波がミッドα波からファストα波にシフトしてさらに強くなった。

思わず「10年後の彼を追跡調査したい」と口をついて出た。将来が楽しみである。

α波のボルテージを記載することは控えるが、私が主宰する「気律脳波の達人脳波検定」の認定レベルに後一歩だ。この認定基準はもの凄く高い。座禅やヨーガを長年修行した人からしか私は見たことがない。

各脳波(周波数)の特徴は、弊社ウェブページ「脳波の豆知識」コーナーに掲載している。

「α波」=「リラックス」と思う人が多いと思うが、おでこからの強いα波は単なるリラックスではない。落ち着いた注意集中状態である。脳は高い聡明状態になっている。

ロケの翌日には測定データを動画化(mp4)して番組スタッフに提供し、翌々日には弊社へご来訪頂き分析結果を解説した。
フジテレビ「めざましテレビ」ココ調コーナー。ビリギャルに学ぶ、やる気を引き出す魔法の言葉を脳波測定で検証。

5月に関わったテレビ番組の内、ご紹介できる番組がもう1本ある。今週木曜日にオンエアされる予定のNHKBSプレミアム「仮説コレクターZ」である。明日配信するセルシネ・ニュースに先駆けてご報告しておきたい。

感謝。


セルシネ・エイム研究所 和田知浩

vol.262 『寝言と会話したら魂が抜ける? フジテレビ「とくダネ!」からの終夜睡眠脳波測定のオファーで考えたこと。そして、閃いた2つのキーワード。』 2015.6.5


前号の「印刷教材とスマホ教材の学習効果に違いはあるのか? フジテレビ「とくダネ!」からのオファーで検証した脳波測定実験。」で紹介した番組がOAされたのが5月11日である。そして、その翌日から足掛け3日間に渡って再びお台場のフジテレビを訪問した。

同じく「とくダネ!」ココ調コーナーで、今度は終夜睡眠脳波の測定である。

脳波測定を始めてかれこれ30年、1万名を超える人々の脳波を測定してきた。私の職業柄、被験者は能力開発やストレス解消を目指す人が殆どだが、ここ数年は睡眠時の脳波を測定して欲しいとのご用命が増えている。

私は医師ではないし、私が用いる脳波測定器も医療用機器ではないので病気の診断などはしない。

ただ、量質転化は起こるもので、門外漢にも色んなことがちょこっとだけ分かってくる。

もちろん医療用脳波計を用いて能力開発の視座から研究に没頭したこともある。使用したシステムは、「サイネフィット1000A」(NEC三栄社製)とEEGマッピングソフト「ATAMAP」(キッセイコムテック社製)である。

また、医療機器メーカーである日本光電が開催する講習会にも通い、日本トップレベルの臨床検査技師や判読医から医療の視座に立った脳波も学んでいる。

脳波のいろはと、私の脳波に関する略歴は弊社ウェブサイト「NOWHADAS」の「脳波の豆知識」コーナーに掲載している。

睡眠脳波を測って欲しいとのご用命を気楽に受けられるようになったのは、脳波解析PCソフト「パルラックスF」の存在が大きい。睡眠ステージの推移が大変分かりやすいのだ。

「パルラックスF」による睡眠脳波の判読方法は、「終夜睡眠脳波の分布グラフ例」に掲載している。

1秒毎の各脳波(3Hz〜30Hzを0.5Hz刻みで55ポイント)の電位をカラースケールで一目瞭然に表示してくれる。このままでは原波形による詳細な分析は不可能だが、単純明快に睡眠ステージを推察できるのだ。

さて、「とくダネ!」からの今回のオファーは、「ハッキリとした寝言を発する人の、その時の睡眠ステージ及び脳波の変化を知りたい」というものだ。理由は、「寝言と会話すると、寝ている人の魂が吸い取られる」という俗説を検証するためだ。

面白い実験だと思った。

終夜睡眠脳波の蓄積データも増えているが、ハッキリとした寝言を発する人の測定例は殆どない。否、正確には、この視点で測定していないから見落としているケースも沢山あるだろう、ということだ。研究者の視点や注目は、研究成果を分ける重要なファクターだ。

今回の実験で番組が被験者に選んだのは、「寝言の天才」ことタニさんだ。ムニャムニャという寝言ではなく、ハッキリとした言葉で寝言を発する特異者である。タニさんのことはオモコロのページで紹介されており、その寝言も聞くことができる。

当然のことだが、終夜睡眠脳波の測定では被験者が寝ている間ずっとモニターを観察している。5時間程度で終了することもあれば、10時間ぶっ通しというケースもざらである。
フジテレビ「とくダネ!」寝言をハッキリと言う人の脳波を測定。

今回は、本番の実験ロケが5時間半、翌日の自己追試ロケが8時間となった。

その結果はオンエアの通りである。

実験中に2つのキーワードを思いついた。

「REM睡眠ブロック」と「REMスルー」である。

タニさんのハッキリ寝言は、ノンレム睡眠の最後の方でそろそろレム睡眠に移行しそうなタイミングでいつも発せられた。同時に激しい体動が起こることもあった。

通常、ノンレム睡眠ではストーリー性のある夢は見ていないとされている。また、レム睡眠中には運動神経のスイッチを切って、無闇に体動しないようになっている。

これらの生理機構が狂って、寝ながら動いたり食事したりするケースをテレビなどでご覧になった読者も多いだろう。

タニさん曰く、「ハッキリとした寝言は、日常でストレスを感じているときに言うような気がする」とのコメントが前述のオモコロで紹介されている。

脳波の推移を見ると、レム睡眠時に出るアルファ波のボルテージがとても低い。また、その持続時間も10秒程度から数分と極端に短かった。

寝言と会話することで、寝ている人の睡眠リズムが崩れて負担となることも脳波観察からうかがえた。ただでさえ生理機構が狂っているのに、その上会話で睡眠リズムをさらに妨害することは当然よろしくない。

但し、人の身体には恒常性があるから、目くじらを立てるほどのことでもない。日常生活に支障がないなら大丈夫だ、と思う。

詳細の考察は控えるが、そんなロケ現場で閃いたキーワードが「REM睡眠ブロック」と「REMスルー」だったのである。

なお、今回の実験で測定した脳の部位は、10-20法のFp1である。

フジテレビ「とくダネ!」寝言をハッキリと言う人の脳波を測定。
OA画像を弊社ウェブページ「脳波測定・・・テレビ番組協力実績」に掲載している。

感謝。


セルシネ・エイム研究所 和田知浩

vol.261 『印刷教材とスマホ教材の学習効果に違いはあるのか? フジテレビ「とくダネ!」からのオファーで検証した脳波測定実験。』 2015.5.30


今回の件で初めてディレクターから電話をもらったのが4月22日である。ロケ日となった5月3日までの間に何回か電話で打ち合わせをし、4月28日には来訪され実際に脳波測定を体験して頂きながら実験方法を煮詰めていった。

ロケ当日は良く晴れていた。これまでは新橋からゆりかもめを利用して訪問していたが、今回はりんかい線を利用した。
フジテレビ

東京テレポート駅に着いたとき、約束の正午までには1時間ほどの余裕があったので、ゆっくりと散歩を楽しみながら向かった。

フジテレビ「とくダネ!」真相チェイス!直撃御免コーナーの今回のテーマは、「印刷教材とスマホ教材のどちらが学習に適しているのか」というものだ。

便利さや情報量・機能性についてはスマホを含むデジタル教材に分があるが、印刷教材の安心感や現物感の良さもある。さて、果たして学習効果に違いはあるのだろうか?

被験者は当初予定よりも一人多く、バラエティーに富んだ11名が集められていた。

被験者は、印刷物とスマホアプリでそれぞれ課題に取り組む。課題に取り組んでいる最中の脳波も測定したが、当然ノイズが大きい。よって、それぞれの教材の課題が終わった直後に1分間の閉眼安静脳波を測定した。

目を開けて作業をしているときの脳波を測りたい場合は、弊社特製の万能脳波センサー「エンフレック」を用いるが、今回は簡便性を優先した。

指標とした脳波は前額部の定常波(α波やβ波)である。

被験者一人の測定が終わる毎に、印刷教材とスマホ教材の比較を被験者にフィードバックしていった。但し速報値である。
とくダネ!。印刷教材とスマホ教材の好集中度判定。

全員の実験が終わったときには18時を回っていた。それから測定データをExcelに入力し、好集中度の算出とグラフ化、そして統計学的有意差判定を30分程掛けて仕上げた。

11名を測定した結果、印刷教材とスマホ教材を利用した場合の“好集中度”に決定的な差は認められなかった。印刷教材の方が好集中度の高かった人もいるし、逆にスマホの方が高い人もいた。中には自己認識とは逆の結果が出た人も少なからずいた。

その総評をコメントして撮影は終わった。が、私の仕事は終わりではない。脳波測定のアプリ画面を動画ファイルにして提出する作業がある。この作業は、測定時間と同じ時間を要する。

局内の食堂に移動し、その片隅でせっせと作業に没頭した。途中でカレーライスをご馳走して頂きガソリン満タン・・・。またせっせと作業を続けた。終わったのは、そろそろ日付が変わる頃だった。単純作業だが、長時間没頭して遣り切ったときには達成感がある。いいドーパミンが出た。

ディレクターとADに見送られてタクシーに乗り込んだ。ベイブリッジで綺麗な夜景を見ながら家族に電話した。感謝・・・。

今月11日に放送されたこの番組からピックアップした画像を弊社ウェブサイト「脳波測定・・・テレビ番組協力実績」に掲載した。

ロケでご一緒した荘口彰久氏がプレゼンターだ。ロケのVTRが終わってスタジオにスイッチしたときに、MCやコメンテーターが楽しそうに侃々諤々やっているのを観て、自分のことのように嬉しかった。

セルシネが協力した番組のオンエア情報などは、セルシネニュースで配信している。


セルシネ・エイム研究所 和田知浩

vol.260 『脳波測定サービスのご紹介。提出レポート例・・・測定結果はセルシネ品質!』 2015.3.20


弊社サービスの人気ランキング第2位である「脳波測定サービス」のプロモーションを強化した。

一番のポイントは、脳波測定実施日に現場で即座に提供することが可能なレポートと、後日提供できるレポートの区別をハッキリと分かりやすくしたことだ。

測定日当日に現場でプリントアウトして提供するサービス名を「レポート・スタンダード」として出力例を掲載した。
提出レポート例「結果/セルフチェック」

このレポートなら約2分で、「センサー装着」→「1分間脳波測定」→「レポート出力」が可能である。サークルやイベントで大勢の脳波を測定する際に適している。

例えば、ヨーガや瞑想訓練、あるいはリラクセーションの施術を受ける前と後の脳波を比べたいときには、このように前後を比較して出力することもできる。
提出レポート例「結果/セルフチェック」比較

棒グラフでは前後の脳波を重ねて表示する。数値は、後の脳波数値を、( )内には前後差の数値を表示。セルフチェック表は、後の測定評価である。もちろん、前後を入れ替えてプリントアウトすることもできる。

このようなレポートは脳波測定が初めての人達にも分かりやすく、大変喜ばれる。

もちろん各脳波(周波数)の特徴をお話ししたり、比較グラフを読み解く際の“前後論法”で陥りやすい落とし穴について言及することもある。

測定結果を独自の方法で解析したいという人には、このようなテキストデータを提供することも可能である。表計算ソフト「Excel」などで読み込むことができる。
提出レポート例「テキストデータ」

以上のような提出資料が「レポート・スタンダード」で、脳波測定料金以外の費用はかからない。

もっと詳しいレポートを希望するクライアントには、解析結果を後日提供するサービス「レポート・カスタマイズ」でお応えしている。

一人ひとりの脳波を分かりやすくまとめた上で、私からのコメントも付け加える。
提出レポート例「コメント付」

次の「脳波聡明度チャート」も人気がある。
提出レポート例「脳波聡明度チャート」

円の中心(原点O)に近づくほど、そして緑色のマークが濃くなるほど聡明度が高いと言える。測定する度に円の中心に向かえば、リラクセーション誘導や瞑想が成功していると判断できる。

「脳波聡明度チャート」は、ワークショップ的に各自が作成するのも楽しい。測定当日に行えば追加料金も発生しない。もちろん記入方法は私が参加者にレクチャーすることもできる。

近頃は、取扱商品やサービス/メソッドなどの効果のエビデンス(科学的な根拠)を得るために脳波測定サービスをご依頼頂くケースも増えている。このような場合には、正式な論文と同じように統計学的な有意差判定まで行うのが一般的である。
提出レポート例「統計学的有意差判定」

「気楽で簡単な脳波測定」から「厳正で本格的な脳波研究」までの幅広いニーズに、セルシネの「脳波測定サービス」でお応えしている。

本ブログで紹介したレポート例は、弊社「脳波測定サービス」紹介ページからの転載である。

最近は、終夜睡眠脳波の測定及び解析のニーズも高い。別途「終夜睡眠脳波の分布グラフ例」紹介ページを開設しているので、こちらも参照されたし。


セルシネ・エイム研究所 和田知浩

vol.259 『心を定めると現実に現れる。汗して心を耕してきた人は、種を植えるだけで実が生ることを実感している。』 2015.1.25


先程ツイッターにつぶやいた。

「心を定めると現実に現れる。汗して心を耕してきた人は、種を植えるだけで実が生ることを実感している。」

気律脳波の測定プロジェクトがご縁で精神統御の達人と会話すると、いつも上の言葉がわき上がる。僭越ながら私自身もこのことを“実感”している。

上の言葉をつぶやいた後、16年前に寄稿した文章のことを思い出した。生涯教育を提供する会社でセミナー展開する部門のマネジャーをしていたときのものだ。

以下にそのまま転載する。

 セミナーが終了した後、一人の男性が「もっと詳しく教えてください」と、自己コントロールについていろいろ質問されて来ました。それに一つひとつお答えし、1時間ほど経った時「最後に一つ」と、潜在意識の働きについて疑問をぶつけてこられました。私も潜在意識について、その質問の視点で考えたことが今までに無かったので、すぐには答えられませんでした。しかし、それに関する2,3の質問をキャッチボールした時、ぱっと私の中でひらめきました。その見解を伝えると、男性はみるみる目が輝き「少し興奮状態です」という言葉を残して帰って行かれました。この男性は独立されて数年が経つ、30代で現役ばりばりのデザイナーでした。
 「よしよし・・・」と、ちょっとした満足感を抱きながら席に戻った時、「これってトンチだよな」と、ふと思ったのです。そして、トンチときたら、そう一休さんです。漫画からの知識しか無かった一休さんについて、もっと詳しく知りたくなりました。さっそく会社の帰りに紀伊国屋に寄り「一休さん」を検索してもらい、そのコーナーへ行き、5,6冊あった中から一番読みやすそうなのを選んで買い求めました。ちょっと紹介しますと・・・

   有漏路(うろじ)より 無漏路(むろじ)へ帰る 一休(ひとやすみ)
   雨ふらばふれ 風吹かば吹け

 有漏路とは、煩悩の境涯をいう。すなわち「漏」とは煩悩で、これを取り去った悟りの境涯が無漏路である。この二つの路、二つの世界は、悟った者から見れば、わずかな隔たりである。となり合わせである。だから、「有」と「無」との中間で一休みするという境地、これが悟りである。

 師は言った「お前は、これから一休と名のるがいい」
          ※安藤英男著 「一休 逸話でつづる生涯」 鈴木出版(株)

 一休が大悟する2年前、25歳の時の事だそうです。一休は大悟する前にも後にも実に軽妙な頓知(トンチ:即座に働く智恵)で自分自身、そして多くの人々を救っています。
何か問題に直面した時、私たちは困窮するがあまり、思考の幅が非常に狭くなってしまいます。そして相談を受ける側も、一つの技法やテクニックに固執してしまうと、柔軟な対応ができなくなってしまいます。私は、新しくカウンセリングの技法を学んだときは、2,3回意識して使ってみるだけで、それ以降は無意識の方に放り込んでおきます。そのテクニックにこだわり続けると、良い結果が得られなくなることを経験的に感じているからです。ユニークな心理療法、催眠療法の実践家として知られるミルトン・エリクソンも言っています「もっとも利用すべきものは、セラピストの無意識である」と。このことはセラピストに限らず、私たち自身の生活にも通じるものがあると思うのです。頓知のセンスで柔軟に。活路がきっと浮かんでくるはずです。            

転載終わり。

精神統御の達人も、“一休み”する。そして、必要ならメンタルセットして(心を定めて)現実世界に欲しい事象を現す。

メンタルセットしているときの脳波はもちろんアルファ波が優勢である。但し単なる優勢ではなく、非常に強いボルテージ(40fsμV以上。0.5Hz幅辺り)のアルファ波だ。

達人認定基準の脳波については、弊社「気律脳波検定」紹介ページに掲載している。

メンタルトレーニングを支援する音響ソフトSSDS-GAM「実現」を販売している。ダウンロード版の紹介や試聴コーナーもあるので是非!

トータルセッションでは、パーソナルサポートからセミナー、一年間に渡るチーム支援を行っている。体験セッションも用意しているので是非!

閑話休題

達人は心の緩急がとても上手である。そしてもちろん、“心休”の時にも“心定”の時にも矩を越えることはない。

「心を定めると現実に現れる。汗して心を耕してきた人は、種を植えるだけで実が生ることを実感している。」

心を定めて種を植えるとは、「心を落ち着けて、欲しい結果をイメージする」ということだ。更に上達してくるとイメージすることすら必要ない。ただ心を落ち着けるだけで良い。

この境地に至る過程で身に付けた技法は、全てが「無用の長物」と化す。


セルシネ・エイム研究所 和田知浩

vol.258 『精神統御の達人とレム睡眠の共通点。脳波測定と自律性解放の視点から。』 2015.1.9


脳波を測定していると、被験者の閉じた瞼が小刻みに振動していることがある。少し緊張していたり疲れているときに軽く目を閉じた際に誰にでも起こりうる現象で、自律性解放という好転反応の場合もある。

瞼ではなく、その奥の目玉がキョロキョロと忙しなく動くこともある。いわゆる“レム(REM:Rapid Eye Movement)睡眠”時の現象である。

入眠から眠りが深くなるにつれて、筋肉の緊張も緩んでくる。デルタ波の含有率が最も多い睡眠ステージ4が、脳波的には一番深い睡眠であるとも言える。

しかし、筋肉の緊張弛緩の側面から見ると、ステージ4よりももっと深い睡眠と言える状態が次に来る。それがレム睡眠である。眼球は急速運動を起こし、逆に全身の筋肉は最も弛緩している。このときに人は夢を見る。

レム睡眠時の優勢脳波はアルファ波である。

入眠からレム睡眠までのステージ移行は約90分を要する。これを何度か繰り返した後に目覚める。90分サイクルの睡眠ステージグラフをご覧になった人も多いだろう。しかし、実際に測定してみると、ステージ移行のばらつきはとても大きい。

睡眠時の脳波の遷移については弊社ウェブサイト「終夜睡眠脳波の分布グラフ例」で解説している。

さて、レム睡眠時の急速眼球運動は何故、何のために起こるのだろう。

夢を見ているときにキョロキョロ動くことから、「視覚対象を追っているから」と考える人もいる。しかし、視覚体験がないために視覚的夢を見ない先天性視覚障害者にも睡眠中の急速眼球運動は起こる。

他にも幾つかの仮説があるが、どれも決め手を欠くようである。

実は、脳波測定をしていると、同じように被験者が急速眼球運動を起こすことが他にもある。ヨーガや禅などの達人が精神統御した際である。

私はこれを、“レム覚醒”(REM覚醒)と呼ぶことにした。

恐らく、レム睡眠とレム覚醒はほぼ同じ生理状態にある。違うのは、眠っているか目覚めているかだけである。この違いは大きいが・・・

レム睡眠のことを逆説睡眠と呼ぶ人もいる。前述したように、身体的には筋肉が最も緩んで深い脱力状態にあるのに、脳は覚醒時に似た脳波だからだ。

禅僧やヨーガ行者は、この生理状態に入って自らの精神を昇華させていく。

レム睡眠ではアルファ波が優勢なので、徐波(デルタ波など)が優勢なノンレム(non-REM)睡眠の時よりも覚醒しやすいように思うが、実際には、被験者は夢に集中しているためか起こされにくい場合もある。(もちろん、自然な目覚めはレム睡眠後というのが普通である)

アルファ波は単なるリラックスではなく、集中力の指標でもある。

レム(急速眼球運動)が起こる原因は、眼筋が充分に緩んだことによる拮抗筋電位の解放かもしれない。否、脳内情報処理と連動しているのだろうか? 原因はやはりまだ分からない。

言えることは、睡眠時のレム(REM)で私達は鮮明な夢を見る。そして、精神統御の達人は瞑想中のレムで特異なイメージを受けている或いは描いているということである。


セルシネ・エイム研究所 和田知浩


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